営業代行を専門とする個人(以下フリーランスと表記)が、企業の営業活動をサポートする場面が増えています。営業は、あらゆる企業にとって欠かせない業務です。営業代行サービスは、その効率化に大きく貢献します。しかし、フリーランスと契約した場合、トラブルに繋がる可能性があるかもしれません。

今回は、フリーランスに営業代行を依頼する際の費用相場や契約上の注意点について、くわしく解説します。

 

営業代行の依頼先は2つある

営業代行の依頼先は、営業代行会社とフリーランスの2つがあります。

フリーランス

営業代行のフリーランスとは、企業での豊富な営業経験を活かして個人事業主として独立しているケースが多く、交渉力や臨機応変な対応力に優れています。即戦力として期待でき、企業のニーズに合わせた柔軟な対応が可能です。

営業代行会社

営業代行会社とは、企業の営業活動を専門的にサポートする会社です。

依頼側のニーズに合わせた最適な営業戦略の実行で、売上向上や顧客満足度の向上を支援します。

フリーランスに依頼できる仕事内容は

フリーランスにできる仕事内容は以下の6つです。

新規顧客の獲得

フリーランスの営業代行は新規顧客の獲得ができます。

フリーランスの営業代行は、独自の営業ルートを築いている場合が多いため、自社では開拓が難しい新しい市場や顧客層へのアプローチが可能になります。独自の営業手法や人脈を活用し、新規顧客の獲得に貢献してくれるでしょう。

メール営業の代行

メール営業代行とは、見込み客への営業メールの作成・送信を代行するサービスです。

報酬は1通のメールを送信するごとに、数円から数十円が支払われる単価制が一般的です。

送信するメール件数が決まっている場合は、固定報酬となる場合もあります。

テレアポの代行

フリーランスの営業代行に、電話による営業活動(テレアポ)を依頼することも可能です。テレアポは顧客に電話をかけ、商談のアポイントを取得したり、商品やサービスの魅力を伝えたりします。

自社の社員はテレアポ業務から解放されることで業務に集中でき、企業全体の生産性向上にもつながるでしょう。

インサイドセールス

インサイドセールスとは、電話やメール、Web会議ツールなどを利用して、非対面で行う営業活動のことです。インサイドセールスは顧客を拡大させる有効な営業手段です。

フリーランスの営業代行は、自社に代わって見込み客に継続的にアプローチし、商談へと繋げます。依頼側は営業にかかっていた時間を有効活用し、自社の専門的な業務に集中できるようになるでしょう。

フィールドセールス

フィールドセールスとは顧客企業を直接訪問し、対面で製品やサービスの魅力を伝え、契約へと繋げる営業手法です。フリーランスの営業代行の中には、このフィールドセールスを代行してくれる場合が多いです。

経験豊富なフリーランスの営業代行は、依頼側の商品やサービスに最適な提案を行い、顧客のニーズを的確に捉え、成約率向上に貢献するでしょう。

既存のクライアントフォロー

営業代行は新規顧客の開拓だけでなく、既存顧客との関係構築にも重要な役割を果たします。

具体的には取引中の顧客から商品やサービスに関する意見や要望を聞き出し、改善に繋げるための情報収集などの業務を行います。

顧客からの追加注文を獲得できた場合、固定報酬に加えて成果報酬が得られる可能性もあり、営業代行にとって大きなインセンティブとなるでしょう。

フリーランスに営業代行を依頼したときのメリット・デメリット

フリーランスの営業代行に依頼した場合の、メリット・デメリットについて、くわしく解説します。

メリット

フリーランスの営業代行に依頼した場合のメリットは次の4つです。

コストを抑えられる

フリーランスの営業代行は営業代行会社に比べて、より低コストでサービスを受けられる点が魅力です。

フリーランスは、企業のようにオフィスや広告費といった固定費がかかりません。そのため人件費などの変動費を抑え、よりリーズナブルな料金でサービスを提供してくれます。

また個人事業主であるため、企業のように複雑な料金体系ではなく、柔軟な交渉が可能です。場合によっては大幅なコスト削減も期待できるでしょう。

柔軟な対応をしてくれる

フリーランスに営業代行を依頼するメリットの一つに、柔軟な対応が挙げられます。

フリーランスは企業のように組織的な制約を受けることなく、個人で仕事を進めるため、依頼内容の変更や急な依頼に柔軟な対応ができます。たとえば、業務内容の追加や、状況に応じて戦略を変更したいといった場合にも、迅速な対応が期待できるでしょう。

迅速な対応を必要とする場合には、フリーランスが適しているといえます。

実績・人柄を事前に確認できる

フリーランスの営業代行は、担当者の実績や人物像を事前に把握しやすいため、安心して依頼することができます。

フリーランスは個人で活動しているため、その人の過去の経歴や実績、得意とする分野などを事前に詳しく調べ、自社に合った人材を選ぶことができます。

営業代行会社の場合、担当者を指名することが難しく実際に営業活動を行う人がどのような人物なのか、事前に把握しにくいというデメリットがあります。

自社のニーズに合う人材を見つけやすい

自社のニーズに合った人材を見つけやすい点も、フリーランスの営業代行の大きなメリットです。

フリーランスの中には特定の業界や分野で豊富な経験を持つ専門家もおり、自社の商品やサービスに最適な人材を見つけることができます。

デメリット

フリーランスの営業代行に依頼した場合のデメリットは次の4つです。

自社に合った人材を探すのに時間がかかる

フリーランスの増加に伴い、優秀な営業代行者を探すのは容易ではありません。

さまざまなスキルや経験を持つフリーランスの中から、自社のニーズにぴったりと合う人材を見つけるには、時間と労力が必要となります。

中には納期を守らなかったり、クライアントの意向を無視するなど、悪質なフリーランスも存在します。

そのため、信頼できる人材を探すには慎重になりましょう。

営業管理が難しい

フリーランスに営業代行を依頼する場合、複数の担当者との連携が必要となるため、営業管理が煩雑になる可能性があります。

複数のフリーランスと契約する場合、それぞれの進捗状況を個別に確認し業務内容にズレがないかなどを注意深く管理する必要があります。そのため、自社で行う管理の負担が増大し、担当者の業務効率が低下する可能性もあるかもしれません。

長期契約やサポートが難しい

長期的な営業代行を検討している場合、フリーランスへの依頼は必ずしも最適な選択肢とはいえません。

フリーランスは複数のクライアントとの契約を同時に行うことが多く、契約期間中に業務を中断したり、業務量を調整する必要がおこることがあります。また個人的な理由により、業務を停止してしまうケースもあるかもしれません。

対策として、複数のフリーランスと契約を結んでリスクを分散させるなどの工夫が必要となるでしょう。

成果の品質にばらつきがある

フリーランスに営業代行を依頼する場合、担当者のスキルや経験によって成果にばらつきが生じる可能性があります。

優秀なフリーランスであれば、高い成果が期待できるでしょう。しかしスキル不足のフリーランスに依頼した場合、期待しただけの成果が出ない可能性があります。

フリーランスへの営業代行依頼は、実績や評価をしっかりと確認し、自社の目標に合致する人材選びが重要です。

フリーランス営業代行の報酬形態と費用相場

フリーランスの報酬形態と費用相場を解説します。

報酬形態には、以下の3つがあります。

成果報酬

成果報酬とは具体的な成果や目標達成を条件に、その成果に応じて報酬が支払われる仕組みです。

報酬額はあらかじめ設定された条件や成果によって変動し、成果が大きいほど報酬も高くなります。一般的には売上の一定割合(20%〜50%程度)が報酬として支払われるケースが多いです。

依頼側にとって、成果報酬は成果が出なければコストを抑えられる一方で、成果が大きくなるとコストも増えるという特徴があります。

商材の原価が低く利益率が高い企業や、短期間に多くの顧客を獲得したい企業が採用しやすい仕組みと言えるでしょう。

固定報酬

固定報酬とは、あらかじめ決められた期間(日、月など)に対して、成果の有無に関わらず一定の金額が支払われる報酬体系です。

報酬額は、日額3万円~5万円、月額30万円~70万円程度が一般的ですが、企業が提供する商品やサービスの単価、求められるスキルなどによって変動します。

一般的に、高単価な商品やサービスを取り扱う企業や、継続的な顧客獲得が重要な企業は、より高い固定報酬を設定することが可能です。

複合型報酬

複合型報酬とは、固定給と成果報酬を組み合わせた報酬体系です。

基本的な報酬として固定給が支払われ、それに加えて獲得した顧客数や売上などの成果に応じて追加の報酬が支払われる仕組みです。

月額5万円~20万円の固定報酬に、1件の契約獲得につき1万円~3万円の成果報酬が加わるような形が一般的でしょう。

顧客管理やマーケティングなど、販売以外の業務も依頼したい企業や、詳細な原価に余裕がない企業において、複合型報酬は柔軟に対応できる報酬体系として採用されています。

フリーランスの営業代行の選び方

フリーランスの営業代行の選び方を2つ解説します。

自社の業界の知識を持っているか

自社の業界に精通したフリーランスを選ぶことが重要です。

自社の業界に詳しいフリーランスであれば、市場の動向や顧客のニーズを深く理解しているため、効果的な営業戦略を立てることができます。業界特有の専門知識や経験を活かして、顧客に対して説得力のある提案を行うことが可能です。

営業活動の効率化が図られ、より高い成果が期待できます。

実績を確認する

営業代行をフリーランスに依頼する際は、どのような業界で実績を築き、どのような専門知識やスキルを持っているかを確認しましょう。

自社の業界での実績があるフリーランスは、業界特有の知識や経験を活かして、顧客とのコミュニケーションを円滑に進め、効果的な営業活動を行うことが期待できます。

営業代行のスキルはあるか

営業代行に必要なスキルは3つあります。

フリーランスの営業代行を依頼するときは、スキルの確認をしましょう。

それぞれについて、解説します。

ヒアリングスキル

営業代行を依頼する際は相手の話を聞き出し、ニーズを正確に把握する「ヒアリング力」が非常に重要です。

ヒアリング力が高い営業担当者は、顧客との対話でリラックスできる雰囲気を作り出し、顧客が抱えている課題や要望を的確に聞き出すことができます。

この能力は新規開拓から既存顧客との関係構築まで、あらゆる営業活動において成果を左右するといえるでしょう。

プレゼンテーションスキル

プレゼンテーションスキルとは、自分の考えや商品・サービスの魅力を、聞き手に分かりやすく伝え、共感を得て、最終的に購入や契約などの行動に繋げる能力です。

営業活動においてプレゼンテーションスキルは、顧客との信頼関係構築や成約率向上に大きく貢献します。顧客は商品やサービスの価値を深く理解し、購入や契約を決断しやすくなります。

企画力

企画力とは問題や課題を特定し、それを解決するための計画を立案できる能力です。

営業活動においては市場の動向を分析し、中長期的な売上目標達成のための戦略を立てることが求められます。

企画力が高い営業代行は市場調査や競合分析に基づいて、効果的な販売戦略やプレゼンテーション手法を立案企画できます。

費用対効果を確認

フリーランスの営業代行を利用する際は、費用対効果をしっかりと見極めましょう。

短期的なプロジェクトの場合、成果を重視するため、費用対効果の明確な把握が不可欠です。

費用対効果を測るために、一般的に以下の3つの方法が用いられます。

顧客獲得単価(CPA)

顧客獲得単価(CPA)とは、1人の顧客を獲得するために費やした平均的なコストのことです。 簡単に言うと、「顧客1人獲得するためにいくら使ったか」を表す指標です。

 

CPA = 営業費用 ÷ 獲得顧客数

 

この数値が低いほど、少ない費用で多くの顧客を獲得できているということになり、営業活動の効率性が高いといえます。

フリーランスの営業代行サービスを利用する際は、自社の営業活動と比較して、CPAがどれくらい改善されるのかを検討することが重要です。

 

受注単価(CPO)

受注単価(CPO)とは、1つの注文を獲得するために費やした平均的なコストです。 「1件の売上が成立するのに、いくら使ったか」を表す指標です。

顧客獲得単価(CPA)が、広告費や問い合わせ対応など、売上になる前の段階も含めた費用を示すのに対し、受注単価(CPO)は実際に売上が発生するまでの費用をいいます。

 

受注単価(CPO) = 営業費用 ÷ 受注件数

 

この数値が低いほど、少ない費用で多くの注文を獲得できているということになり、営業活動の効率性が高いといえます。

フリーランスの営業代行に依頼する際は、自社の商品やサービスの単価と、このCPOを比較することで、費用対効果を測ることができます。

投資利益率(ROI)

投資利益率(ROI)とは、ある事業や投資に対してどれだけの利益を得られたかを表す指標です。 

営業代行に当てはめると、営業代行に支払った費用に対して、自社がどれだけの売上や利益を生み出したのかを測る尺度となります。

 

投資利益率(ROI) = 得られた利益 ÷ 営業代行費用 × 100%

 

この数値が高いほど、投資した費用に対して大きな利益を生み出せていることを意味し、営業代行の費用対効果が高いといえるでしょう。

ROIは、営業代行の費用が適切だったかどうかを客観的に判断する上で非常に有効な指標です。

個人(フリーランス)営業代行と契約する際の注意点

フリーランスに営業代行を依頼する際、さまざまな注意点があります。

事前に確認しておくべきポイントがあります。 

ここでは、営業代行と契約する際の注意点について4つ解説します。

契約内容を明確にする

フリーランスの営業代行を依頼する際は、契約内容をしっかり確認しましょう。

具体的には、何を任せるか(業務範囲)、どれくらいの対価を支払うか(報酬)、機密情報をどう扱うか(守秘義務)などを、契約書に明記することが大切です。 

依頼したい業務内容を具体的に伝え、成果の測り方や報酬の支払い方法も明確にしておきましょう。

業務委託契約書の作成

業務委託契約書を作成すると、お互いの権利義務が明確になり、トラブル発生時の対処もスムーズになります。 契約書には、業務内容・報酬・支払い方法・期間・解約条件・違約金・守秘義務など、必要な項目を漏れなく記載しましょう。

契約書を作成することで、双方にとって安心安全な取引関係を築けます。

進捗状況と成果報告をしてもらう

フリーランスに営業代行を依頼する際は、定期的な進捗報告と成果報告が必要です。

 単に仕事を任せるのではなく、報告方法や頻度を事前に明確にしておくことで、営業活動の状況を常に把握できます。

定期的な報告により、営業代行者がどのような顧客にアプローチしているか、どのような提案をしているかなどを把握でき、自社の営業ノウハウの向上に繋げることができます。

 また問題が発生した場合にも、早期に発見し対応することが可能になります。

追加費用の確認

フリーランスに営業代行を依頼する際、基本的な費用以外にもさまざまな費用が発生する可能性があります。

 

1つ目は訪問代行費用です。

 顧客への訪問営業が必要な場合、別途費用がかかることが一般的です。

2つ目はコンサルティング費用です。 

より専門的なサポートを求める場合は、コンサルティング費用が発生することがあります。この費用は、基本契約に含まれている場合と、別途オプションとして請求される場合があります。

3つ目は実費精算です。 

交通費や通信費など、営業活動に必要な実費が請求されるケースも少なくありません。

 

これらの追加費用について、契約前にしっかりと確認し、見積もり作成をしましょう。

個人(フリーランス)の探す手段

フリーランスの営業代行を探したい場合は、いくつかの方法があります。

 

  • 直接検索:インターネット検索やフリーランス自身のブログやSNSで探す
  • クラウドソーシング・求人サイト:クラウドソーシングサイトや一般的な求人サイトを利用して募集をかける
  • マッチングサービス:フリーランスと企業をマッチングさせるサービスを利用するどの方法を選ぶかは、求めるスキルや予算、契約期間などによって異なります。 複数の方法を併用することで、より多くの候補者の中から最適な人材を見つけることができるでしょう。

まとめ

個人(フリーランス)の営業代行は、企業のニーズに合わせた柔軟な対応や、コストパフォーマンスの高さから注目されています。

最近では必要なスキルを持ったフリーランスに依頼して、人件費を抑えつつ、専門的な営業支援を受ける企業が増えています。

 

フリーランスの営業代行を検討する際は、さまざまな選択肢の中から最適なものを選ぶことが重要です。

 

 

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