メルマガの機能の一種に「ステップメール」というものがあります。ステップメールは一度設定すれば自動的に顧客へアプローチする、メールマーケティング手法の一種です。
効率的にメールマーケティングを行う場合、ステップメールの活用は必須といえるでしょう。
今回の記事では、ステップメールを成功させるための作り方のコツを、具体例を交えて詳しくご紹介していきます。メールマーケティングを担当している方や、これから個人でメールマーケティングを始めようと思っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
1.ステップメールとは?
ステップメールとは、 ユーザーが特定のアクション(メルマガ登録、商品購入、会員登録、資料請求など)をした際に、あらかじめ作成しておいた複数のメールをスケジュール通りに自動送信するメールのことを指します。
ステップメールを効果的に活用することで、読者との信頼構築が築きやすくなり、目的である商品の成約率を高めることができます。
1.ステップメールとメルマガとの違い
ステップメールとメルマガの違いについても理解しておきましょう。「メルマガ」と「ステップメール」は基本的に違う意味で使われます。
ステップメールは前述のとおり、ユーザーのアクションに対して、予め作成しておいた複数のメールを順番に読者へと自動配信します。登録者は誰でも1通目から順を追って読むことができるため、ステップメールの中でストーリーを作るなどしてユーザーに届けることができます。
一方でメルマガの場合は、メールを一括送信したいときに利用するサービスです。例えば、4月1日にメルマガを配信すると、4月1日に登録しているユーザーすべてに一斉送信されます。そのため、4月2日などその後に登録したユーザーは読むことができません。
メルマガはタイムリーな時事ネタを配信する際や、キャンペーンメールなどのストーリー性が不要な内容を配信するときに向いています。
2.ステップメールのメリット
ステップメールのメリットには以下の4つがあげられます。
・作成すれば自動的に配信される
・読者との信頼構築が期待できる
・高額商品が売れやすい
・一度作成すれば再利用できる
これらのメリットについて、ひとつずつ紹介します。
1.作成すれば自動的に配信される
ステップメールの配信面でのメリットは、メールの配信を自動化できる点です。ステップメールは設定した順番に読者へと送信される仕組みのため、 一度作成してしまえば残りの作業は自動化して運用ができます。
毎日必要となる作業はないため、他の業務に時間を充てることができます。
2.読者との信頼構築が期待できる
ステップメールは、読者との信頼構築を行う手段の一つです。あらかじめ配信する内容を設定できるため、読者は1話目(1通目)から順に読み進めていくことになります。
シナリオ構成を行えば、一種の物語のような内容を定期的に読者に送信することができます。効果的にステップメールを活用することで、読者がこちら側に対して親近感を感じやすくなり、信頼構築がしやすくなるでしょう。
3.商品が売れやすい
読者との信頼構築がうまく行われることで、商品のセールスも行いやすくなります。
定期的に届くステップメールを読んでいた 読者であれば、同じ会社から来たセールスメールを読む確率は上がります。ステップメールを通して親近感を感じられるようになれば「この会社が勧めるなら買ってみようか」など、好意的なアクションを取ってもらいやすくなります。
4.一度作成すれば再利用できる
ステップメールは一度作成してしまえば何度でも使うことができます。
複数の人が別々のタイミングで登録しても、順番に同じものが自動配信されるのがステップメールの特徴です。一度作成してしまえば 繰り返し使えるため、費用のかからないマーケティングツールとなります。
3.ステップメールのデメリット
ステップメールのデメリットには下記の4つような点があります。
・双方向性がない
・リアルタイム性が失われる
・最初は想定読者をイメージして作成する必要がある
・分析・改善が必要
上記のデメリット4つについて一つずつ紹介します。
1.双方向性がない
ステップメールは配信者側が設定したメールを一方的に配信する、読者との双方向性がないシステムです。
読者には、登録後に予め設定された一連のステップメールが定期的に送られます。単発のメルマガであれば、その時の状況や読者の要望に合わせた臨機応変なメール配信ができますが、ステップメールにはそのような柔軟性がありません。
2.リアルタイム性がない
またステップメールの特徴としてリアルタイム性がないという点があります。
ステップメールは一度作成してしまえば自動運用できますが、時間が経てば情報も古くなっていきます。メルマガであれば最新の情報を使った配信できるため、ステップメールとメルマガは併用して配信することをおすすめします。
3.最初は想定読者をイメージして作成する必要がある
ステップメールは読者がいない状態で配信する内容を作成するため、想定読者をイメージしながら作成する必要があります。
「どのような人が登録するか」、「どのような悩みを持っているか」、「どのような情報が知りたいか」など、まずはメールを送る読者を細かく設定した上でメール作成を行う必要があります。
4.分析・改善が必要
作成したステップメールは常に分析と改善が必要になります。
実際の読者のニーズと、ステップメールの提供する内容が噛み合わない場合もあります。例えばステップメールの出口が商品購入のオファーの場合、購入率を分析しながらステップメールが効果的に機能しているか確認しましょう。
問題がある場合、内容を精査して改善していく必要があります。
4.ステップメールの作り方手順
ステップメールの作成手順は以下のとおりです。
1.ステップメールを配信するサービスを決める
2.ステップメールの目的を決める
3.ペルソナを設定する
4.シナリオ構成を考える
5.ステップメールの作成する
6.ステップメールの配信設定をする
7.ステップメールの配信テストをする
8.ステップメール登録の導線を設置する
9.効果測定をこない改善を検討する
上記の各ステップについて、簡単に紹介します。
1.ステップメールを配信するサービスを決める
ステップメールを配信するにあたっては、ステップメール設定が可能なメルマガ配信サービスを利用しましょう。
メルマガ配信サービスは無料で利用できるものから有料のものまであります。
利用できるサービスを比較しながら登録しましょう。
2.ステップメールの目的を決める
次にステップメールを配信する目的を決めます。
ステップメールを使ってどういう結果が得たいのかを決めましょう。「商品販売」、「モニター募集」、「資料請求」、「会員登録」など、ステップメールの出口を決めます。
3.ペルソナを設定する
次にペルソナを設定します。
ペルソナとは「顧客像」のことを意味します。ステップメールの目的に対してどのような悩みを持ったユーザーがステップメールに登録するのかを考えます。ペルソナを決めることで、この後作成するシナリオの構成が格段にやりやすくなります。
4.シナリオ構成を考える
次にシナリオを設計しましょう。
設定したペルソナに対して下記のようなことを考えてみましょう。
・「どのような悩みがあるか?」
・「どのような理想像をもっているか?」
・「その理想像に近づけるために何ができるか?」
・「どのような情報を提供すればいいか?」
・「その悩みが解決するのを邪魔しているものは何か?」
上記のようなことを考えることで、メールの内容や、どのタイミングでどういった情報を提供していくかの方針や構成が決まってきます。
5.ステップメールの作成する
構成が決まったら、ステップメールを作成していきます。
作成する内容は構成に従い、書く内容に迷った場合には設定したペルソナが読みたくなるようなものを考えましょう。もちろん言葉選びや、改行の頻度など読みやすさを重視することも大切です。
6.ステップメールの配信設定をする
ステップメールの完成後は、登録しているメルマガ配信サービスなどで、ステップメールとして登録しましょう。それぞれのメールを配信日時を設定する際は、メールなどをゆっくり読みやすい生活時間帯を選びましょう。
7.ステップメールの配信テストをする
登録したステップメールは一度配信テストをしてみましょう。
登録した通りの順番で配信されているか、スマホで見た時に文章は崩れていないか、URLがある場合は機能しているか、などのチェックを行いましょう。
8.ステップメール登録の導線を設置する
配信テストが終了したら、読者が流入する導線にステップメールの登録URLを設置しましょう。登録URLを設置後、ステップメールへの登録フォームにリンクできているかも確認しておきましょう。
9.効果測定を行い、改善する
ステップメールが配信され始めたら、効果が出ているかを定期的に確認します。効果測定の結果を分析し、必要に応じて改善していきましょう。
5.ステップメールシナリオの具体例
続いては、一般的に効果が高いとされているステップメールのシナリオの流れをご紹介します。
内容の参考にしてみてください。
1.1通目
配信内容 | 目的 |
・登録者無料プレゼント
・挨拶、自己紹介 ・メールを読むメリット |
読者に登録してくれたお礼。 この先に送られてくるメールを読むメリットを共有し、興味を持ってもらう |
2.2通目
配信内容 | 目的 |
・メールを読むメリットを再度共有 ・問題提起(〜で困ったことはありませんか?など) |
メールを読むメリットを再確認してもらう。 そののち読者に対して問題提起をし、さらに興味をもってもらう |
3.3通目
配信内容 | 目的 |
・問題解決の方法を提示 | 2通目の問題提起に対する解決策を提示。 悩みが解決できることを知ってもらう |
4.4通目
配信内容 | 目的 |
・問題解決の方法を提示(具体例) | 実際に問題を解決した具体例や、自分の体験談などを交えて商品やサービスの効果や安全性を訴求 |
5.5通目
配信内容 | 目的 |
・実際にサービスを利用した人の声 ・Q&A |
商品やサービスの効果を実感している人のレビューを紹介。 Q&Aを使い、購入を踏みとどまる理由を極力なくす |
6.6通目
配信内容 | 目的 |
・商品販売の告知 | 販売の告知をおこない、購買意欲を高める |
7.7通目
配信内容 | 目的 |
・商品を購入することで得られるベネフィット ・販売ページへの誘導 ・購入特典を紹介 |
商品やサービスを購入することでどのように変われるかを提示する。 購買意欲が高まったら販売ページへ誘導。購入者特典などで後押し |
6.ステップメールを効果的に機能させるためのコツ
最後にステップメールを効果的に機能させるためのコツについて紹介します。
意識するだけでもステップメールの成果が変わるので、少しずつ実践していきましょう。
1.ステップメールの目標を設定する
1つ目は、ステップメールの目標を設定することです。
闇雲にステップメール配信し続けるのではなく、「1ヶ月に〇〇人の商品購入を獲得する」などと常に目標を設定しておきましょう。目標を立てておくことで、目標を達成するためにどのような改善をすればいいか?という問題意識を持つことができます。
2.登録者にプレゼントを用意する
2つ目は、ステップメールの登録の際のプレゼントを用意することです。
読者をステップメールに効率的に誘導するには、ステップメールに登録者プレゼントをつけることが効果的です。「メールアドレスを登録する」のは読者にとって面倒ですが、「無料プレゼント」というメリットを提供することで実際に登録してもらいやすくなります。
3.配信するメールごとの役割をハッキリさせる
3つ目は、ステップメールで配信するメールごとの役割をハッキリさせることです。
メールごとに役割を持たせるとステップメール全体のメリハリがつき、それぞれの質が良くなります。1通1通の内容に統一感がなかったり、1つのメールに複数の目的が詰まっていると読みにくく内容が伝わりにくくなるため、注意しましょう。
4.読者の興味を惹くタイトル付けを意識する
4つ目は、興味の惹くタイトル付けを心がけることです。
ステップメールの登録者が毎回必ずメールを読んでくれるとは限りません。「シンプルすぎるタイトルではなく、読者が反射的に開きたくなるようなタイトル付けを心がけましょう。
5.読者に語りかけるように書く
5つ目は、読者に語りかけるように書くことです。
ステップメールは商品販売などを目的とし、あらかじめ構成などを考えてメールを作成します。事務的な文章になりやすいため、読む相手のことをイメージしながら書きましょう。
またメルマガ配信サービスによっては、登録者の名前を自動挿入してくれる差込文字がある場合は活用しましょう。こういったサービスがない場合は、「皆さん」といった複数を指す言葉ではなく「あなた」という読者一人を指す言葉を使いましょう。
6.配信時間や頻度に注意する
6つ目は、配信時間や頻度に注意することです。
配信時間を間違うと、興味を持っている読者でもメールに気づかず、見逃してしまう可能性があります。メールの開封率が高い時間としては朝の7時や、昼休憩の時間帯、夜20時〜21時あたりです。
また読者が新鮮な気持ちで読めるように、メールは1日1通、もしくは数日間隔で送信するように設定しましょう。
7.到達率、開封率、クリック率を計測する
7つ目は、到達率、開通率、クリック率を計測することです。
到達率とは、配信しているメールが実際に登録してくれている読者に届いた割合のことを指します。開封率とは、届いたメールが開封された率を指します。クリック率とは、開封されたメール内に記載しているURLなどがクリックされた割合を指します。
これらはステップメールが機能しているかどうかを知るための大切な指標となります。定期的に計測を行い、ステップメールの改善に役立てましょう。
まとめ
ステップメールは、作成段階では構成や内容作りに時間が掛かるものの、うまく運用すれば効率的に収益を上げることができるマーケティングツールです。
メルマガと似ているものの基本的な性質が異なります。顧客との信頼関係を築きやすいというメリットを活かせる運用を行いましょう。作成と配信を重ねながら、結果のフィードバックを通して内容を改善していくことも大切です。
ぜひ今回ご紹介したコツや具体例を参考にしながら、効果的なステップメール配信を行って下さい。