Youtubeを始めとした各種サイトやSNSでは、動画広告が増えてきています。

「テレビCMがそのままWeb上で流れたもの」とイメージする方も多いと思いますが、実は本質的な仕組みや効果についてはテレビCMとは大きな違いがあります。また動画広告に関しては「インストリーム広告」、「インリード広告」、「CPV課金」などと聴き慣れない用語が多数なため、とっつきにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。

動画広告は、バナー広告と比較しても映像や音、文字を活用しているため、ユーザーへ適切にサービスを宣伝できる、効果的な広告です。この記事ではその動画広告について、初心者でもわかりやすく解説し、種類やメリット・デメリットについて紹介していきます。

1.動画広告とは?

動画配信広告とは、テキストやバナーを使用する広告とは違い、動画(映像)を使った広告のことを指します。

2010年よりYoutubeで採用され始め、現在ではInstagramやTwitterといったSNSでも一般的になってきている広告の配信形式です。動画は文字や画像と比べて情報量が多いため、ユーザーの関心が引きやすく、インターネットと5Gの普及に伴って今後ますます市場の拡大が見込まれています。

 

2.動画広告の種類3つについて

動画広告は大きく分けて次の3つがあります。

①インストリーム広告
②インバナー広告
③インリード広告

これらの違いについて詳しく解説していきます。

 

1.インストリーム広告

Youtubeで動画を視聴している際に動画の広告が流れたことはないでしょうか? Youtubeなどのコンテンツ内で自動的に再生される広告を「インストリーム広告」といいます。

従来のバナー広告と比較して大きな画面で表示されるうえ、映像・音・文字など表現できる幅が格段に高くなっているため、商品・サービスの魅力をユーザーへ適切に表現しやすいという特徴があります。インストリーム広告では、CPV課金(広告視聴単価課金)方式が採用されていることが多く、短い時間の動画広告だと、最後まで視聴されない限り課金されないものもあります。

他にも、動画広告が表示されたあと、数秒後にユーザーが手動でスキップさせることができる「スキッパブル広告」と、最後まで強制的に視聴してもらう「ノンスキッパブル広告」があります。「ノンスキッパブル広告」は6〜15秒が一般的で、「スキッパブル広告」では30秒〜数分の長さの広告が多くあります。

 

2.インバナー広告

インバナー広告は、Webサイトにアクセスした際に、画面の横などで自動的に流れる動画広告です。このインバナー広告は、従来のバナー広告枠に配信されるタイプの動画広告で、インディスプレイ広告と呼ばれることもあります。

このインバナー広告の場合、インストリーム広告とは違い、画面はWebサイトの一部のみでの表示で、音声も基本的にOFFになっています。また動画DSP(広告の提供サービス)を介したプログラムによって、Webサイトに訪れたユーザーにマッチした広告が自動的に表示されることが大半です。

 

3.インリード広告

インリード広告は、3つの動画広告フォーマットの中では最も新しいフォーマットです。この広告は、 ユーザーがWebサイトをスクロールした際に、記事やコンテンツ内に挿入されている動画広告に到達することで自動的に再生が開始されます。主に画面を上から下へとスクロールするスマホユーザーに適した動画広告フォーマットで、SNSで多く採用されている広告形態です。

このインリード広告を採用している有名な媒体としてはFacebookがあります。Facebookで画面をスクロールし、タイムラインを見ているときに自動的に動画広告が流れているという経験がある方も多いのではないでしょうか。

 

3.動画広告の課金の方式は?

動画広告の課金方式には、次の3つがあります。

①CPV課金方式
②CPM課金方式
③CPC課金方式

略称なので覚えづらいですが、上から「再生された回数による課金」、「表示された回数に称金」、「クリックされた回数による課金」と覚えておくと良いでしょう。

これらの課金方式についてもう少し詳しく解説していきます。

 

1.CPV課金方式

CPVとは、Cost Per Viewの略で、動画広告1回再生あたりにかかるコストのことを指します。CPVは 広告が見られたことを重視する課金方式のため、認知力の向上などに対して費用対効果が高い課金方式です。

10秒以上再生された場合に課金が発生し、相場は4〜7円程度です。Youtubeのように「最後まで視聴されなければ課金はされない」といった完全視聴単価方式を取り入れている媒体もあります。

このCPVは、動画広告で最も多い課金方式です。

 

2.CPM課金方式

CPMとは、Cost Per Milleの略で、広告が画面に表示された回数1,000回ごとの平均コストを指します。

後述するCPCでは広告がクリックされるたびに費用が発生しますが、CPMの場合は 何度クリックされても費用が変わることがありません。そのためインプレッション数が多いほどお得になる課金方式です。

 

3.CPC課金方式

CPCとは、Cost Per Clickの略で、1クリックあたりの広告費のことを指します。

CPMと違う点は、「表示された回数」ではなく「クリックされた回数」という点で、クリックされなければ費用が発生することは基本的にありません。そのため クリック率の測定ができ、配信された動画広告がどの程度興味を持たれたのかを確認することができる課金方式です。

 

4.動画広告を扱う主な配信先

続いて、動画広告の主な配信先について紹介します。

動画広告は近年認知度が上がっており、新しい媒体でも取り上げられ今後も市場が広がっていくと見込まれています。その中でも、メジャーな動画広告配信サイトをいくつかご紹介します。

 

1.Youtube

広告の種類
・インストリーム広告(スキップ可or不可)
・TrueViewディスカバリー広告
・バンパー広告
・マウスヘッド広告

課金形態
・CPV
・CPC
・CPM
・CPD/CPM

Youtubeは、2020年3月の時点で世界で月間アクティブユーザー数が約20億人以上を超えています。日本国内だけでも月間アクティブユーザー数は2018年時点で約6,200万人とされているため、広告配信先としては文句なしと言えるでしょう。

Youtubeの親会社はGoogleのため、Google広告を活用した動画広告の出稿となります。Googleの膨大なデータを元に 細かなターゲティングができるだけでなく、ユーザーの年齢層や属性も幅広いため、より多くのユーザーにアプローチすることができます。

 

2.Twitter

広告の種類
・プロモビデオ広告
・プレロール広告
・スポンサーシップビデオ広告
・ビデオカンバーセーショナル広告
・ビデオアプリガード広告
・プロモライブビデオ広告

課金形態
・動画の再生数
・インストリーム動画の再生数

Twitterは2020年時点で世界で月間アクティブユーザー数3億8,000万人を越しているテキストベースのSNSです。国内では2018年時点で約4,500万人のユーザーが利用しています。気軽に自分の状況を発信できるため、 スマホ世代の10代〜20代の若年層ユーザーが多く、リツイートによる拡散力の高いSNSです。

拡散には1次拡散と2次拡散があり、元の動画広告を拡散したものを1次拡散、その拡散された動画広告を再度拡散する2次拡散に分類されます。2次拡散からのエンゲージメントに対して、課金が発生しないのはTwitterの特徴です。

影響力のあるインフルエンサーによるプロモーションなども効果的なため、うまく運用することで低コストでの広告効果が期待できます。

 

3.Facebook、Instagram

広告の種類
【Facebook】
・インストリーム広告
・フィード広告
・ストーリーズ広告
・その他(プレミアム動画、プレイアブル動画)

【Instagram】
・フィード広告
・ストーリーズ広告
・ディスカバリー広告

課金形態
【Facebook】
・CPM
・CPC
・Thru Play

【Instagram】
・CPM
・CPC
・CPI
・CPV

Facebookの国内月間アクティブユーザー数は2019年の時点で約2,600万人以上、Instagramでは約3,300万人以上とされています。 InstagramはFacebookが運営しているため、Facebookから広告を出稿したり、Facebookと連携した広告を出稿することができるなどの特徴があります。

ただし、InstagramとFacebookのアクティブユーザーの層には大きな違いがあるので注意しましょう。Instagramは写真や動画などをシェアする若年層(10代〜30代)の女性が多いのに対し、Facebookは実名で登録する40代〜50代の中堅層ユーザーが多いとされています。

そのため、広告の質や方向性は出稿する媒体に合わせて考える必要があります。

 

4.LINE

広告の種類
・Smart Channel
・タイムライン
・LINE NEWS
・LINE マンガ
・LINE ウォレット
・LINE BLOG
・LINE ポイント
・LINE ショッピング
・LINE広告ネットワーク

課金形態
・CPM
・CPC

LINEは2020年時点で国内の月間アクティブユーザー数約8,400万人を超えるSNSです。メッセージアプリとして2011年に登場して以来急速に普及し、現在では老若男女問わず利用されています。

その他、LINEブログやLINEマンガなど、 多くの派生コンテンツを提供し、広告のターゲティングとして様々な層にアプローチすることができます。デイリーアクティブユーザーは86%とされており、SNSの中でも圧倒的なアクティブ率を誇るため、高い広告効果が期待できるSNSです。

 

5.動画広告のメリットとは?

ここまでの内容でも動画広告のメリットを感じて頂けたのではないでしょうか。
次からはさらに深堀して、より具体的な動画広告のメリットについて解説していきます。

 

1.情報量の多さで印象をつけることができる

1つ目のメリットは、情報量の多さです。

動画は文字(テキスト)や画像よりも伝えられる情報量が格段に多くなります。 動画では映像に加え音楽や字幕などをつけることもできるため、1枚の画像と比べて圧倒的な情報量の差が生まれます。

また、文字や画像ではできないストーリー演出なども可能なため、ストーリーものの動画広告の作成が可能なことも大きなメリットのひとつでしょう。テレビCMと同様に、記憶に残りやすいため、認知度があがれば話題にもなりやすいという特徴があります。

 

2.拡散効果が期待できる

2つ目のメリットは、動画広告が拡散されることによる大きな広告効果が期待できる点です。

前述のとおり、動画広告は記憶に残りやすいため、ユーザーに強い印象を与えられるというメリットがあります。 動画広告にインパクトがあれば、広告のターゲットと関係ないユーザーでも動画広告を拡散してくれる可能性があります。

ユーザーが何かを拡散する動機としては「真似してみたい」、「インパクトがある」、「面白い」などがあります。そのため無名な商品でも、ユーザーが拡散したくなるような動画広告を作成することで、一気に商品の知名度を上げることも可能になります。

拡散効果が期待できるSNSとしては、特にTwitterがおすすめです。

 

3.効果測定ができ改善できる

3つ目のメリットは、効果測定が可能な点です。

Web上でおこなう広告は、 「どんなユーザーが、どんなときにアクセスしたか」や「どんなときに離脱したか」などの効果測定が可能です。

チラシや街頭の看板などでは、細かな効果測定はあくまでも”予測”の範囲を出ませんが、Web上でおこなう動画広告は、細かなデータが数字として残ります。そのデータを元に着実に広告の質を上げていくことができます。

 

6.動画広告のデメリット

動画広告にはデメリットもあります。メリットだけでなく、デメリットも理解したうえで活用しましょう。

1.最後まで視聴されない可能性がある

1つ目のデメリットは、動画を最後まで視聴してもらえない可能性がある点です。

動画広告は最後まで視聴してもらうことで、文字や画像では伝わらない情報を伝えることがひとつの目的です。しかし、作成した動画広告が必ずしも最後まで視聴されるとは限りません。

Youtubeのノンスキッパブル広告であれば、強制的に視聴してもらうことができますが、その他の動画広告は基本的にスキップもしくはスルーすることができます。そのため、動画広告は どうやったら最後まで視聴してもらうことができるかを考えて作成する必要があります。

 

2.制作に時間的・金銭的コストがかかる

2つ目のデメリットは、広告の作成に時間とお金がかかる点です。

動画広告は文字・画像の広告とは違い、広告の完成までに多くの工程があります。ターゲティング、内容・構成の作成、映像撮影、編集、BGM作成などに加え、出演者や機材を揃える必要があるためです。

あらかじめ、 広告の出稿にかかるコスト以外の時間的・金銭的コストは計算したうえで動画広告を企画しましょう。

 

3.動画の質によって効果が変わる

3つ目のデメリットは、動画の質によって広告効果が大きく変わってしまう点です。

動画広告が成功するかどうかは、動画のクオリティやセンスにかかっています。たとえ有名芸能人を起用したからといって、必ずしも動画広告が最後まで視聴されるとは限りません。逆に、素人が出演している動画広告でも、内容が面白く、ユーザーが「拡散したい」と思うようなものであれば想像を超える効果を発揮することがあります。

そのため、動画広告は複数のパターンを用意し、いろいろ試しながら改善していく必要があります。

 

7.動画広告を制作する方法

最後に動画広告を作成する方法について紹介します。
動画広告作成の方法は、大きくわけると下記の3つに分けることができます。

①制作会社に依頼する
②自主制作する
③個人に依頼する

予算や内容に合わせて動画広告の作成を考えましょう。

 

1.制作会社に依頼する

1つ目は、制作会社に依頼して動画広告を作成する方法です。

動画広告のニーズ増加に伴って、動画広告制作会社も増えています。撮影機材やスタッフの質により、クオリティの高い動画広告の作成が可能な一方で、相応の予算が必要になる制作方法です。

ただし、ジャンルに合わせて制作会社を選んだり、編集の手間などを任せることができるといったメリットもあります。

 

2.自主制作する

2つ目は、自主制作で動画広告を作成する方法です。

動画広告は配信サイトによってガイドラインがあるものの、「自主制作の動画広告は流せない」などの規制はありません。そのため自分一人で作成した動画広告をネット上で配信することも可能です。ただし、全ての作業を自分もしくは自主制作チームで行うぶん、時間がかかる可能性があります。

また、客観的な視点も入りづらいため、効果のある広告を作成するには試行錯誤が必要でしょう。
しかし予算が限られている場合や、動画制作にこだわりがある場合にはぴったりの制作方法です。

 

3.個人に依頼する

3つ目は、個人クリエイターに依頼して作成する方法です。

クラウドソーシングなどを活用し、フリーランスのクリエイターに依頼することで、動画制作会社よりも低コストながらクオリティの高い動画広告を作成することが期待できます。ただし、クリエイターの実力には大きな差がある場合があるので、依頼するクリエイターは実績がある人や、過去の成果物がある人を選ぶことをおすすめします。

 

8.まとめ

いかがでしたでしょうか。動画広告によって、テレビCMのように、どんな企業でもユーザーに向けたネット広告を流せるようになりました。しかも不特定多数を相手にしたテレビCMとは異なり、Web上では高精度なターゲティングが可能なため、より高い広告効果が見込めます。

もちろん、ユーザーの意思で広告をスキップできる、スルーできるという特性があるため、より視聴者に刺さる動画広告を作成することが重要になります。しかし動画広告は、Web上で拡散されれば実際の広告費用に対してさらに高い広告効果を上げることができる強いメリットがあります。

インターネットの広がりと5Gの普及により、動画広告市場は今後も拡大が見込まれる注目の広告形式です。これからサービスの広告を打ち出そうと考えている方であれば、ぜひ少額からでも動画広告を試してみることをおすすめします。

 

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