営業代行を検討するとき、「月額50万円なら高いのか」「成果報酬なら本当に得なのか」と、料金だけを比較してしまいがちです。
しかし、営業代行の費用は月額やアポイント単価だけでは判断できません。
重要なのは、契約期間全体でいくら支払うのか、その費用で何件の有効商談を獲得できるのか、何件受注すれば費用を回収できるのか、最終的にどれだけ粗利が残るのかまで確認することです。
この記事では、営業代行の一般的な相場そのものではなく、実際に見積もりを取ったあとに「その金額が自社にとって高いのか・安いのか」を判断する方法を解説します。
営業代行の一般的な料金相場や、固定報酬型・成果報酬型・複合型の違いを先に確認したい方は、「営業代行の相場はいくら?料金体系や費用の目安を解説」も参考にしてください。
営業代行の費用対効果は「月額」ではなく「総額」で判断する
営業代行会社から見積もりを取ったら、まず月額料金だけを見るのではなく、契約期間全体で実際に支払う金額を確認しましょう。
営業代行の総額は、基本的に次のように考えられます。
営業代行の総額 = 初期費用 + 月額固定費 × 契約月数 + 成果報酬 × 成果件数 + その他の費用
その他の費用には、営業リスト作成費、営業ツール利用料、交通費、追加人員費などが含まれる場合があります。
たとえば、次の2社を比較してみましょう。
| 会社 | 料金条件 | 6か月利用した場合 |
| A社 | 初期10万円+月50万円 | 310万円 |
| B社 | 固定費なし+商談1件2万円 | 商談90件なら180万円 |
この条件だけを見るとB社の方が安く見えます。
しかし、B社で月30件、6か月で180件の商談が発生した場合は、
2万円 × 180件 = 360万円
となり、A社の310万円を上回ります。
つまり、固定報酬型と成果報酬型は、成果件数によって最終的な支払総額が逆転することがあります。
※上記は料金体系の考え方を説明するための仮定例です。特定企業の料金・成果を示すものではありません。
営業代行会社によって料金が大きく違う4つの理由
営業代行の見積もりには大きな差が出ることがあります。
これは、単純に「高い会社」「安い会社」があるからではありません。支援範囲や稼働量、成果条件などが違うためです。
任せる営業工程が違う
営業代行には、テレアポだけを任せるサービスもあれば、営業戦略の設計から商談・クロージング、レポート・改善まで一括で支援するサービスもあります。
たとえば、主な営業工程には以下があります。
- 営業戦略の設計
- ターゲット選定
- 営業リスト作成
- 架電・メールなどのアプローチ
- インサイドセールス
- 商談
- クロージング
- レポート・改善提案
対応範囲が広くなるほど必要な人員や工数も増えるため、料金は高くなりやすくなります。
稼働量が違う
同じ「月額50万円」でも、実際の稼働内容は会社によって異なります。
1人が専任に近い形で稼働するケースもあれば、月間の稼働時間やアプローチ数を限定して複数案件を担当するケースもあります。
そのため月額料金だけではなく、何人・何時間・何件程度の営業活動が含まれているかを確認しましょう。
成果の定義が違う
成果報酬型では、「何を1件の成果と数えるか」によって単価の意味が大きく変わります。
たとえば、
- 商談日程が決まれば成果
- 担当者と実際に商談できれば成果
- 決裁者が参加した商談だけ成果
では、同じ「1件」でも価値が異なります。
アポイント単価だけを横並びにするのではなく、成果条件をそろえて比較することが重要です。
初期費用や管理費などの条件が違う
成果報酬型でも、必ずしも成果報酬だけで完結するとは限りません。
会社によっては、初期費用、営業設計費、管理費、ツール利用料などが別途発生する場合があります。
営業代行会社を比較するときは「月額」や「1件あたりの単価」ではなく、最終的な契約総額を確認してください。
固定報酬型と成果報酬型は何件で費用が逆転する?
固定報酬型と成果報酬型のどちらが安いかは、簡単な計算で目安を出せます。
固定報酬額 ÷ 1件あたりの成果報酬 = 費用が同額になる成果件数
たとえば、
- 固定報酬:月60万円
- 成果報酬:商談1件2万円
の場合、
60万円 ÷ 2万円 = 30件
となります。
単純な支払額だけで比較すれば、月30件未満なら成果報酬型、月30件を超えると固定報酬型の方が安くなる計算です。
ただし、実際には商談の質、営業活動の範囲、改善提案の有無などが異なるため、30件を境に必ず固定報酬型の方が得になるわけではありません。
この計算は、見積もりを比較する最初の判断材料として使いましょう。
営業代行の費用対効果を見る3つの指標
営業代行の料金が妥当か判断するには、アポイント数だけではなく、有効商談・受注・粗利まで追うことが重要です。
有効商談1件あたりの費用
営業代行費用 ÷ 有効商談数
たとえば月60万円で20件の有効商談を獲得できた場合、
60万円 ÷ 20件 = 1商談3万円
です。
単に日程が設定されたアポイントではなく、自社が実際に営業できた「有効商談」を基準にすると、費用対効果をより実態に近い形で把握できます。
1受注あたりの獲得費用
営業代行費用 ÷ 受注件数
月60万円の営業代行で4件受注した場合、
60万円 ÷ 4件 = 1受注15万円
となります。
この15万円が高いか安いかは、自社の商品・サービスで1件受注した際にどれだけ粗利が残るかで判断します。
ROI(投資利益率)
営業代行のROIは、次の式で計算できます。
(営業代行によって得た粗利 − 営業代行費用)÷ 営業代行費用 × 100
たとえば、
- 営業代行費用:60万円
- 受注数:4件
- 1件あたり粗利:25万円
なら、営業代行経由の粗利は100万円です。
(100万円 − 60万円)÷ 60万円 × 100 = 約66.7%
費用対効果を判断するときは、売上ではなく粗利を使うことがポイントです。
売上100万円の商品でも、原価や提供コストを差し引いた粗利が20万円しか残らない場合、営業代行に投資できる金額は大きく変わります。
何件受注すれば営業代行費用を回収できる?
営業代行を導入する前に、損益分岐となる受注件数も計算しておきましょう。
営業代行費用 ÷ 1件あたりの粗利 = 費用回収に必要な受注件数
たとえば、
- 月額費用:60万円
- 1受注あたり粗利:25万円
の場合、
60万円 ÷ 25万円 = 2.4件
です。
実際には受注件数を小数にはできないため、月3件以上受注すれば営業代行費用を粗利で回収できる計算になります。
さらに、自社の商談からの受注率が20%なら、
3件 ÷ 20% = 15商談
となり、月15件程度の有効商談が必要だと逆算できます。
このように、
費用 → 必要受注件数 → 必要商談数
の順番で考えると、営業代行会社から提示されたKPIが自社の採算ラインに合っているか判断しやすくなります。
継続課金型サービスはLTVも含めて判断する
SaaSや月額サービスなど、契約後に継続収益が発生する商材では、初月の売上だけで費用対効果を判断すると営業代行を過小評価する場合があります。
たとえば、
- 月額売上:10万円
- 粗利率:60%
- 平均継続期間:12か月
なら、1件の契約から期待できる粗利は、
10万円 × 60% × 12か月 = 72万円
です。
営業代行経由の1受注に20万円かかっていたとしても、1契約から72万円の粗利が見込めるのであれば、採算が合う可能性があります。
継続課金型の商材では、単月の売上だけではなくLTVベースの粗利で判断しましょう。
営業代行の見積もりを比較するときの7項目
複数社から見積もりを取ったら、金額だけではなく条件をそろえて比較しましょう。
| 確認項目 | 見るポイント |
| 契約総額 | 契約期間全体でいくら支払うか |
| 委託範囲 | どの営業工程まで含まれるか |
| 稼働量 | 人数・時間・アプローチ数など |
| 成果条件 | 何を成果1件として数えるか |
| 追加費用 | 初期費用・ツール・リスト費など |
| 上限設定 | 成果報酬の月額上限を設定できるか |
| 改善体制 | レポートや改善提案まで含まれるか |
営業代行は会社ごとに料金体系やサービス範囲が異なります。
「同じ条件にした場合の総額」と「期待できる成果」をそろえて比較することが重要です。
「安い営業代行」が最も費用対効果が高いとは限らない
たとえば次の2社があったとします。
A社は月40万円で2件受注できた場合、1件あたり粗利が25万円なら、
粗利50万円 − 費用40万円 = 10万円
が残ります。
一方、B社は月70万円で5件受注できた場合、
粗利125万円 − 費用70万円 = 55万円
が残ります。
この場合、支払額はB社の方が30万円高いものの、最終的に残る粗利はB社の方が大きくなります。
営業代行の費用は、
「いくら払うか」ではなく「払ったあとにいくら残るか」
で判断することが重要です。
※上記は考え方を説明するための仮定例です。
営業代行を依頼する前に確認しておきたいこと
営業代行を依頼する前に、最低限次の4点を整理しておくと、見積もりの比較や導入後の評価がしやすくなります。
| 目的・KPI | 新規商談数、受注数、売上など、何を増やしたいかを決める |
| 採算ライン | 1受注あたり、または1商談あたりいくらまで投資できるかを計算する |
| 委託範囲 | どこまで外注し、どこから自社で対応するかを決める |
| 評価方法 | 何を成功とし、どの頻度で成果を確認するかを決める |
特に「1件の受注にいくらまで投資できるか」を事前に計算しておくと、見積もりの妥当性を判断しやすくなります。
営業代行会社そのものを比較したい方は、以下の記事も参考にしてください。
営業代行の費用対効果に関するよくある質問
営業代行の費用対効果はどのくらいなら良いですか?
すべての会社に共通する基準はありません。
商品単価、粗利率、商談からの受注率、継続率などによって適正な水準は変わります。
まずは自社の1受注あたり粗利を計算し、その粗利以内で受注を獲得できているか確認すると判断しやすくなります。
成果報酬型なら赤字になりにくいですか?
必ずしもそうではありません。
アポイントを成果とする契約では、アポイントが大量に発生しても受注につながらなければ、費用だけが増える可能性があります。
成果の定義と、成果から受注までの転換率を合わせて確認しましょう。
営業代行はどのくらいの期間で評価すればよいですか?
自社の営業サイクルによって変わります。
契約から受注まで数か月かかる商材であれば、1か月目の受注数だけで判断するのは適切ではありません。
商談数などの先行指標と、受注・粗利などの最終指標を分けて確認するとよいでしょう。
営業代行の費用を抑えるにはどうすればよいですか?
単価の安い会社を選ぶだけでなく、自社で対応できる業務と外注する業務を分けることが有効です。
たとえば、初期アプローチだけを営業代行会社に任せ、商談やクロージングは自社で行う方法があります。
また、成果報酬型では月間の成果件数や支払額に上限を設定できるか確認しておくと、予算超過を防ぎやすくなります。
まとめ
営業代行の費用は、月額料金やアポイント単価だけでは判断できません。
重要なのは、
- 契約期間全体の総額
- 有効商談1件あたりの費用
- 1受注あたりの費用
- 何件受注すれば元が取れるか
- 営業代行によって得られる粗利
- ROI
まで確認することです。
一般的な料金相場を把握したら、自社の粗利や受注率を使って「その見積もりで採算が合うか」を計算しましょう。
営業代行会社によって料金体系や得意な営業工程は異なるため、複数社を同じ条件で比較することも重要です。
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この記事の監修者
鶴田克之
株式会社ジャパンプ取締役
営業歴20年以上。様々な業界の営業代行を担当し、
楽天やミスミなど大手企業の営業支援も経験。
新規開拓に加え、営業チームの立ち上げ・マネジメントにも携わる。
営業代行の発注設計と会社選定(相場・依頼範囲)に関する内容を監修。
岡林洋祐
株式会社ジャパンプ取締役
営業歴15年以上。様々な業界の営業代行を担当。
リクルートやキーエンスなど大手企業の営業支援も経験。
スクリプト改善や架電運用の最適化など、現場で成果を出す実務に強みを持つ。
営業代行で成果を出すための運用設計(品質管理・改善・教育)に関する内容を監修。


