初めて経理関連の部署に配属された場合は、日常生活では使わない言葉ばかりで戸惑うかもしれません。そのため早く業務に慣れて仕事の質を上げるためにも、日々勉強をすることが大切になります。勉強の習慣を身につけるにはいろいろな方法がありますが、特におすすめなのは資格を取ることです。
職場によっては、昇進の条件に特定の資格に合格することが設けられているケースもあるので、資格を取ることで有利になります。また転職する場合も、例えばほぼ同じ条件の応募者が2人いた場合、人事は資格を持っている人を選ぶでしょう。
今回の記事では、過去に様々な資格試験を受験したライターが「経理でキャリアアップを目指す人におすすめの資格」を8つご紹介します。
1.日商簿記検定
1つ目の資格は、日商簿記検定です。
1.どんな資格?
日本商工会議所が主催する試験で、4級から1級まであります。しかし、4級は商業高校で簿記を初めて勉強する人のための級として扱われている側面が強いため、一般的に受験を考えるなら3級から始めて問題ありません。 経理でのキャリアアップを目的にするなら、まずは2級までを目指しましょう。
1級になると、試験科目が商業簿記、会計学、工業簿記、原価計算論の4つに増えて各段に難しくなります。しかもいわゆる「足切り制度」があるため、合格率が10%を割ってしまう回があるのも珍しくありません。ちなみに筆者が合格した時は、合格率が1.9%でした。
2.合格するための勉強法は?
大きく分けると、1)テキストを買ってきて独学する、2)専門学校が実施している対策講座を受講する、の2つです。3級や2級であれば、1)でも十分に太刀打ちできる人も多いでしょう。しかし、1級を受験するつもりであれば、2)も検討した方がよさそうです。また、問題を解くときは、ただ漫然と処理をするのではなく「なぜ、こうなるのか」を考える習慣を付けましょう。こうすることで、見たことがない問題が出てきたとしても、ある程度は対処できるはずです。
https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping/about
2.全国経理学校協会簿記能力検定
2つ目の資格は、全国経理教育協会簿記能力検定です。
1.どんな資格?
日商簿記検定と同じく、簿記の能力を図るための試験ですが、主催しているのは全国経理教育協会です。そのため、全経簿記能力検定と呼ばれることもあります。最も簡単な「基礎簿記会計」から最も難しい「上級」まで様々なレベルの試験が実施されています。なお、大学で法学部、商学部、経済学部以外の学部に在籍していたなど、一定の条件に当てはまる人が税理士試験を受験したい場合、先ほど紹介した日商簿記検定1級か全国経理学校協会簿記能力検定上級に合格しないといけません。
このような事情があるため、資格としてのステータスはほぼ同等とみなされています。ただし、 日商簿記検定に比べると、受験できる会場が非常に少ないので注意が必要です。
2.合格するための勉強法は?
基本的に日商簿記検定と同じと考えてください。ただし、本試験で効率的に点を取るためには、全経簿記能力検定の過去問題集を必ず解き、本試験でどのように問題が出題されているのかを確認しておきましょう。
http://www.zenkei.or.jp/exam/bookkeeping
3.国際会計検定(BATIC)
3つ目の資格は、国際会計検定です。
1.どんな資格?
東京商工会議所が主催している試験ですが、全国の商工会議所を通じて受験申込ができます。 英文簿記をはじめとする英語での会計処理や、IFRSに関する知識など国際的な会計基準の理解度を計るものです。なお、結果は合格・不合格で得られるのではなく、TOEICのようにスコアが表示される仕組みで、スコアごとに認定されるランクが異なります。なお、スコアとランクの関係は以下の通りです。
スコア | 称号 | 日商簿記検定でいうと |
880~1,000 | コントローラーレベル(Controller Level) | 1級程度 |
700~879 | アカウンティングマネジャーレベル(Accounting Manager Level) | 2級程度 |
320~699 | アカウンタントレベル(Accountant Level) | 3級程度 |
200~319 | ブックキーパーレベル(Bookkeeper Level) | 3級程度 |
2.合格するための勉強法は?
公式問題集が発行されているので、まずはそれを入手して解きましょう。 アカウンタントレベルまでであれば、日商簿記検定2級に合格しており、中学校程度の英語の読み書きができればさほど問題ありません。ただし、会計の資格であるという性質上、専門用語も英語で表記されているので、最初のうちに覚えてしまうのがコツです。
4.経理・財務スキル検定(FASS検定)
4つ目の資格は、経理・財務スキル検定(FASS検定)です。
1.どんな資格?
一般社団法人日本CFO協会が、経済産業省からの委託を受けて実施しています。 資産・決算・税務・資金の4分野から問題が出題され、獲得した点数によってランクが認定される仕組みです。なお、現在はCBTといって、所定の期間内にテストセンターに行き、自分でパソコンを操作して受験する方式になっています。
2.合格するための勉強法は?
まずは経理・財務スキル検定公式学習ガイドを入手し、どんな問題が出題されるのかを確認しましょう。その上で、自分でわからないところを調べたりしながら学習を進め「大丈夫そう」と思えたら、受験申し込みをしてください。なお、公式のeラーニングプログラムもあるので「自分1人だけでは勉強できそうにない」と思うなら、利用するのも1つの手段です。
5.給与計算実務能力検定
5つ目の資格は給与計算実務能力検定です。
1.どんな資格?
名前の通り、 給与計算の仕組みを正しく理解し、適切な処理ができるかどうかの能力を図るための検定です。経理はもちろん、総務や人事など何らかの形で給料に関係ある部署で働いている人なら、仕事に関連する知識を習得するという意味で受験してもいいでしょう。級は2級、1級の2つがあります。1級まで持っていると高度な知識を有していると判断してもらえますが、基本的なことを学ぶだけなら2級でも十分です。
2.合格するための勉強法は?
試験は公式テキストから出題されるので、まずは隅から隅まで理解しましょう。また1級でも2級でも、同様に計算問題が出題されます。時間内に正確に回答するためには、ある程度の練習量がやはり必要ですので、時間を確保して取り組んでみてください。
給与計算実務能力検定試験®とは
6.ファイナンシャル・プランナー(FP技能士)
6つ目の資格は、ファイナンシャル・プランナー(FP技能士)です。
1.どんな資格?
正式名称はファイナンシャル・プランニング技能士と言いますが、どちらかといえば通称のファイナンシャル・プランナーの方が広く知られています。金融財政事情研究会と日本FP協会の2つが運営する試験です。試験は1級から3級までありますが、 同じ級であってもどちらの団体が主催しているかで、実技試験で出題される内容が違うのが大きな特徴です。例えば2級の場合、実技試験の出題範囲となる業務内容に応じて、次のように主催団体が分かれています。
実技試験 | 主催団体 |
個人資産相談業務 | 金融財政事情研究会 |
生保顧客資産相談業務 | |
損保顧客資産相談業務 | |
中小事業主資産相談業務 | |
資産設計提案業務 | 日本FP協会 |
2.合格するための勉強法は?
社会人であれば、書店やネット通販などで問題集を入手して繰り返し解くのが最も効率的かもしれません。ただし、1級になるとかなり難しいので、専門学校に通い、勉強のペースを作りながら試験を迎えるのも1つの選択肢でしょう。
https://www.jafp.or.jp/exam/about/
7.社会保険労務士
7つ目の資格は、社会保険労務士です。
1.どんな資格?
社会保険労務士は国家資格の1つで、次の2つの業務をメインに行っています。
・労働関連法令や社会保障法令に基づく書類等の作成代行等
・企業を経営していく上での労務管理や社会保険に関する相談、指導
経理というよりはどちらかと言えば人事、労務寄りの資格です。しかし 国家資格のため、経理関連で働いていたとしても本気でキャリアアップを目指したい方や、将来は独立開業を望んでいる方なら検討する価値はあります。
2.合格するための勉強法は?
合格率が10%前後の試験であるため、独学はあまり現実的ではありません。専門学校に通い、カリキュラムをきっちりこなしていきましょう。なお、最低でも1,000時間程度の勉強時間は確保したほうがいいので、家族や周囲の協力を仰ぐのも大事です。
https://www.sharosi-siken.or.jp/
8.税理士
8つ目の資格は、税理士です。
1.どんな資格?
税務代理、税務作成の書類、税務相談の業務を独占して行える国家資格です。昔は中小企業の記帳代行業務がメインの仕事になっていた部分もありますが、会計ソフトの発達で、この分野の仕事は廃れつつあります。しかし、税務相談をはじめとしたコンサルティング業務の担い手としてはまだまだ注目度の高い資格であるのも事実です。 何歳でも仕事に生かせる資格なので「一生ものの資格が欲しい」という人は狙ってみましょう。
2.合格するための勉強法は?
税理士は、簿記論・財務諸表論の必修科目の他に、税法3科目の合計5科目に合格する必要があります。どの科目もかなり難しく、1発合格をするほうが珍しいとされています。そのため独学は現実的ではなく、専門学校に行くほうが無難になります。 良い点としては、税理士試験では科目合格制が採用されているため、1年に1科目ずつ受ける、ということが可能です。モチベーションを保ちながら気軽に頑張りましょう。
https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/zeirishishiken/zeirishi.htm
9.経理がキャリアアップするため資格と同じくらい大事なことは?
ここまで、様々な資格を紹介してきましたが、経理関連の部署で働く人がキャリアアップするために、資格を取るのと同じくらい大事なことについて2つ触れておきましょう。
1.コミュニケーション能力
1つ目は、コミュニケーション能力です。実際に経理の仕事をしている人ならわかるかもしれませんが、 経理の仕事は他の部署の人とのやり取りが前提になっています。様々な人と協力して仕事を進めるには、やはりコミュニケーション能力が大事です。相手が何を求めているのかを知り、的確な行動をするようにしましょう。
2.絶えず自己研鑽するモチベーション
日本を含め、世界を取り巻く状況は日々変化し続けています。そのため、必要とされる知識やスキルもどんどん変化するのです。変化についていくためには、自分自身も変わっていく必要があります。絶えず自己研鑽するモチベーションを保ちましょう。
おわりに
今回の記事では、これまで様々な資格試験を受験したライターが、経理でキャリアアップを目指す人向けの資格をご紹介しました。資格試験のために対策を行うことで日々勉強する習慣が身に付き、資格を取ることでキャリアアップや仕事で有利になります。それぞれ概要と勉強方法をご紹介しましたので、ぜひ今後の試験受験の参考にされてください。
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