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アップセル・クロスセルとは?BtoB営業での使い分け・成功ポイント・外注方法を解説

2025.07.24

アップセルとクロスセルは、既存顧客の課題や利用状況に合わせて提案内容を広げ、顧客単価やLTV(顧客生涯価値)の向上を目指す営業手法です。

ただし、既存顧客だからといって一律に追加提案をすればよいわけではありません。利用量が増えているのか、別の課題が生まれているのか、現状のサービスに不満がないかなどを確認し、アップセル・クロスセルを使い分ける必要があります。

本記事では、アップセル・クロスセルの違いから、BtoB営業での具体例、提案する顧客の選び方、実施手順、失敗しやすいケースまで解説します。あわせて、既存顧客営業を外注する場合に任せられる業務や、自社で持つべき業務、営業代行会社の選び方も紹介します。

アップセル・クロスセルとは?違いを簡単に比較

アップセルとクロスセルはいずれも、顧客により大きな価値を提供しながら、顧客単価やLTVの向上を目指す営業手法です。ただし、提案する内容が異なります。

手法 提案内容 BtoBでの例
アップセル 現在より上位の商品・プラン・契約範囲を提案する SaaSの上位プランへの変更、利用ID数の追加、契約範囲の拡大
クロスセル 現在の商品・サービスに関連する別の商品・サービスを提案する システム導入企業に運用支援を追加提案、営業代行利用企業にインサイドセールス支援を提案
ダウンセル より価格や条件を抑えた代替案を提案する 上位プランを見送る顧客に小規模プランや機能を絞った契約を提案

アップセルとは?

アップセルとは、現在利用している商品・サービスよりも上位の商品やプラン、より広い契約範囲を提案する方法です。

BtoBでは、SaaSの利用人数を増やす、上位機能を利用できるプランへ変更する、営業支援の対象部署を増やすなどが代表例です。

単に高額な商品を勧めるのではなく、現在の利用状況や課題に対して上位プランへ移行する合理的な理由があるかを確認することが重要です。

クロスセルとは?

クロスセルとは、現在利用している商品・サービスと関連する別の商品やサービスを追加で提案する方法です。

例えば、Web制作を依頼している企業に広告運用を提案する、営業代行を利用している企業にインサイドセールスや営業コンサルティングを提案するといったケースが該当します。

アップセルが「現在の契約を広げる」提案であるのに対し、クロスセルは「別の課題に対応する商品・サービスを追加する」提案と考えると分かりやすいでしょう。

ダウンセルも選択肢のひとつ

顧客にとって上位プランや追加サービスが適していない場合は、ダウンセルを検討することもあります。

予算が合わない顧客に小規模なプランを提案したり、利用状況に合わせて契約範囲を縮小したりする方法です。短期的な単価向上だけを優先せず、顧客が継続して価値を得られる契約に調整することが長期的な関係維持につながります。

アップセルとクロスセルはどう使い分ける?

アップセルとクロスセルのどちらを提案するかは、商品ではなく顧客の状態から判断することが重要です。

顧客の状態 検討しやすい施策 判断の考え方
利用量が上限に近い アップセル 上位プランや利用枠拡大によって業務上の制約を解消できるか確認する
上位機能への要望がある アップセル 必要な機能と追加費用のバランスを示す
他部署・他拠点にも同じ課題がある アップセル・横展開 現在の導入効果を確認したうえで対象範囲の拡大を検討する
関連する別の課題が顕在化している クロスセル 現在の商品では解決できない課題に対して関連サービスを提案する
契約更新が近い 利用状況を確認して判断 更新時期だから提案するのではなく、成果や課題を確認して必要性を判断する
利用率が低い・不満がある 追加提案よりフォローを優先 まず利用定着や問題解決を行う
解約兆候がある 原則として売り込みを優先しない 解約理由や不満の解消を先に行う

重要なのは、「既存顧客だから追加提案する」のではなく、「顧客が現在抱えている課題を解決するために、追加提案が適切か」を判断することです。

BtoB営業におけるアップセル・クロスセルの具体例

BtoBでは、ECのように商品を同時購入してもらうだけでなく、契約範囲の拡大や別部署への展開、関連業務への支援追加などさまざまな形があります。

SaaS・ITサービス

  • 利用人数が増えた企業に上位プランやID追加を提案する
  • 一部部署で利用しているツールを他部署へ展開する
  • システム導入後に運用支援やコンサルティングを追加提案する

営業・マーケティング支援

  • テレアポ代行の対象リストや稼働量を増やす
  • 営業代行を利用している企業にインサイドセールス支援を追加する
  • Web制作を利用している企業に広告運用やSEO支援を提案する

人材・法人向けサービス

  • 採用支援を利用している企業に研修や定着支援を提案する
  • 特定部門で利用中のサービスを他部門・他拠点へ展開する
  • 基本サービスに運用代行やサポートサービスを追加する

同じ商材でも、顧客によって適切な提案は異なります。契約内容だけでなく、利用状況、組織構成、担当者の要望、今後の事業計画なども確認して提案を設計しましょう。

アップセル・クロスセルを実施する手順

アップセル・クロスセルは、営業担当者個人の判断だけに任せるよりも、対象顧客の選定から効果測定まで一定の流れを作る方が運用しやすくなります。

1.既存顧客をセグメントする

まず、契約プラン、契約期間、売上規模、利用状況、業種、部署などをもとに既存顧客を整理します。

すべての顧客に同じ提案をするのではなく、「上位プランへの移行余地がある顧客」「関連サービスとの相性がよい顧客」など、提案可能性のある層を分けておくことが重要です。

2.利用状況・契約状況を確認する

契約内容だけでなく、サービスの利用頻度や利用人数、問い合わせ履歴、更新時期などを確認します。

利用が進んでいない顧客に上位プランを提案しても受け入れられにくいため、まず現在の契約で十分な価値を得られているかを確認します。

3.顧客の追加課題を確認する

定期フォローやヒアリングを通じて、現在のサービスでは解決できていない課題や、新たに発生した課題を把握します。

「別部署でも同じ問題がある」「運用部分まで任せたい」「現在のプランでは機能が足りない」といった情報が、アップセル・クロスセルを判断する材料になります。

4.提案候補を決める

顧客の状態に合わせて、上位プラン、利用範囲の拡大、関連サービスなどから提案候補を決めます。

自社が売りたい商品から考えるのではなく、顧客の課題と追加提案によって得られる価値がつながっているかを確認しましょう。

5.提案タイミングを決める

利用量の増加、追加機能に関する問い合わせ、成果が確認できたタイミング、契約更新前などは提案機会になりやすい場面です。

ただし、更新時期だからという理由だけで提案するのではなく、その時点で顧客に追加提案が必要かを判断します。

6.トーク・提案内容を作る

「上位プランがあります」と紹介するだけでなく、現状の課題、変更後に得られる効果、費用や運用面の変化を具体的に説明します。

顧客ごとに提案内容を変えつつ、よくある課題や提案理由については営業トークや資料を標準化しておくと、担当者による品質差を抑えやすくなります。

7.営業活動を実施する

電話、メール、オンライン商談、定期訪問など、顧客との関係性や商材に合った方法でアプローチします。

一度の提案で判断を迫るのではなく、必要に応じて追加ヒアリングや情報提供を行いながら検討を支援します。

8.成果と失注理由を確認して改善する

提案件数や成約件数だけでなく、提案後の継続率、解約、失注理由なども確認します。

「誰に」「いつ」「何を」提案したときに成果につながったかを蓄積し、顧客選定や営業トークを継続的に改善します。

アップセル・クロスセルを成功させるポイント

顧客の利用状況と課題を把握する

アップセル・クロスセルでは、購買履歴や契約情報だけでなく、サービスの利用状況、問い合わせ内容、担当者からの要望などをまとめて確認することが重要です。

CRMやSFAなどを利用している場合は、営業・カスタマーサクセス・サポートなどが持つ情報を共有できる状態にしておくと、提案対象を判断しやすくなります。

顧客にとっての提案理由を明確にする

アップセルでは、上位プランへ変更することで何が改善するのかを説明します。クロスセルでは、現在の商品だけでは解決できないどの課題を追加サービスで補えるのかを明確にします。

「売上を増やしたいから提案する」のではなく、「顧客の課題を解決するために追加提案が必要」という状態を作ることが重要です。

提案タイミングを見極める

利用頻度の増加や追加要望の発生など、顧客側に変化が起きたタイミングは提案機会になりやすいでしょう。

一方、導入直後で十分に活用できていない場合や、不満・トラブルが発生している場合は、追加提案よりも現在の問題解決を優先します。

営業・カスタマーサクセス間で情報を共有する

既存顧客との接点は営業担当だけとは限りません。カスタマーサクセス、サポート、運用担当者が追加ニーズや不満を把握している場合もあります。

部署ごとに顧客情報が分断されると提案機会を逃したり、逆に不適切なタイミングで営業してしまったりするため、顧客状態を共有する仕組みを整えましょう。

アップセル・クロスセルで失敗しやすいケース

すべての既存顧客に一律で提案する

契約中という理由だけで全顧客に同じ提案をすると、不要な営業連絡が増え、顧客体験を損なうおそれがあります。

利用状況や課題から提案対象を絞り込み、対象外の顧客には無理に営業しない判断も必要です。

顧客の不満を解消する前に追加提案する

現在のサービスに不満がある顧客へ上位プランや追加サービスを勧めても、納得を得にくいでしょう。

利用率が低い、問い合わせが解決していない、解約を検討しているといった状況では、まず既存契約の問題を解決します。

売りたい商品を起点に提案する

販売目標を優先して商品を押し込むと、顧客課題と提案内容が合わなくなります。

アップセル・クロスセルの起点は商品ではなく顧客の課題です。追加契約によって顧客側にどのような価値があるのか説明できない場合は、提案を見送ることも選択肢です。

売上だけをKPIにする

短期的な追加売上だけを追うと、不要な上位プランを契約してもらうことが成果として扱われてしまいます。

提案件数、商談化率、成約率などに加えて、継続率や解約状況、失注理由なども確認し、中長期的に顧客との関係が維持できているかを見ましょう。

アップセル・クロスセル営業は外注できる?

アップセル・クロスセルを含む既存顧客営業は、営業代行会社やカスタマーサクセス支援会社へ外注できます。

ただし、どこまで対応できるかは代行会社によって異なります。架電や商談設定など実行部分のみを依頼できる会社もあれば、顧客のセグメント設計、対象顧客の選定、営業戦略の立案、実行、効果検証まで支援する会社もあります。

主に外注を検討できる業務は以下の通りです。

  • 既存顧客リストの整理
  • 顧客セグメントの設計
  • 提案対象顧客の抽出
  • 電話・メールによるアプローチ
  • 利用状況や追加ニーズのヒアリング
  • アップセル・クロスセルの提案
  • 商談設定
  • 商談・クロージング
  • 対応結果の記録
  • 営業トークや施策の改善
  • KPI集計・レポート

「アップセル営業をすべて外注する」と考えるのではなく、自社の営業・カスタマーサクセス体制を確認し、負担が大きい工程や社内だけでは十分に対応できていない工程から切り出すと検討しやすくなります。

自社で持つ業務と外注しやすい業務

既存顧客営業では、すべてを外部へ任せるよりも、自社が判断すべき部分と外注しやすい部分を分ける方法もあります。

業務 外注のしやすさ 考え方
定期フォロー・利用状況確認 比較的外注しやすい 確認項目や対応ルールを標準化しやすい
対象顧客への架電・メール 比較的外注しやすい 対象条件やトークを決めて運用できる
商談設定 比較的外注しやすい 自社営業へ引き継ぐ運用にしやすい
定型商品の追加提案 外注を検討しやすい 提案条件・価格・説明内容を明確にできる場合に向く
値引き・特別条件の判断 自社主導が向く 利益や契約条件に直結するため判断権限を整理する必要がある
重要顧客との関係調整 自社主導が向く 長期的な取引関係や社内事情を踏まえた判断が必要
高度な技術説明 自社または専門担当との連携が向く 誤説明を防ぐため専門知識を持つ担当者が対応する
クレーム・重大な不満への対応 自社主導が向く 追加提案より問題解決を優先し、責任者を明確にする

実際には、商材の複雑さや顧客との関係性によって適切な分担は変わります。代行会社へ依頼する場合は、業務範囲だけでなく、どの場面で自社へ引き継ぐかまで決めておきましょう。

既存顧客営業を外注したいものの、どこまで任せるべきか決まっていない場合は、対応範囲を相談できる営業代行会社を比較してみるのも一つの方法です。

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アップセル・クロスセルに対応する営業代行会社の選び方

既存顧客営業の支援実績と担当者の経験を確認する

新規開拓と既存顧客への営業では、必要なアプローチが異なります。

営業代行会社を比較する際は、テレアポ件数や新規開拓実績だけでなく、既存顧客フォロー、アップセル、クロスセル、カスタマーサクセスなどの支援経験があるかを確認しましょう。

会社としての実績だけでなく、実際に顧客対応を担当するメンバーの経験や教育体制も確認しておくと安心です。既存顧客との関係を引き継ぐため、商品知識だけでなく、顧客とのコミュニケーション品質も重要になります。

どこまで対応できるか確認する

対象顧客リストが完成した状態から架電だけを依頼するのか、顧客データの整理やセグメント設計から依頼するのかによって必要な会社は変わります。

戦略設計、リスト整理、アプローチ、商談、クロージング、効果検証など、必要な工程と代行会社の対応範囲を照らし合わせましょう。

顧客情報の管理方法を確認する

既存顧客営業では、契約情報や利用状況、過去の問い合わせなどの情報を扱います。

使用するCRM・SFA、対応履歴の記録方法、自社への情報共有方法などを事前に確認し、顧客情報が分断されない運用を設計することが重要です。

自社の商品・ブランドを理解できる体制か確認する

既存顧客への営業では、これまで築いてきた信頼関係を損なわないことが重要です。

商品説明だけでなく、自社の顧客対応方針、提案してよい条件、提案してはいけないケースまで理解したうえで営業できる体制か確認しましょう。

実施状況を共有し、改善できる体制があるか確認する

アップセル・クロスセルは、一度トークを作って終わりではありません。

どの顧客層で反応がよかったか、どの提案が断られたか、どのタイミングで商談化したかなどを分析し、対象顧客やトークを改善できる会社か確認します。

あわせて、対応履歴や顧客の反応をどのように共有するか、レポートの頻度、改善提案の進め方も確認しましょう。営業活動が見えない状態にせず、自社側でも状況を把握できる運用にすることが大切です。

アップセル・クロスセル営業代行の費用の考え方

営業代行の費用は、対象顧客数、営業チャネル、稼働量、商談まで任せるか受注まで任せるか、商材の専門性などによって変わります。

そのため、アップセル・クロスセル営業だけを対象に一律の相場を示すよりも、依頼範囲と料金体系をセットで比較することが重要です。

料金体系 仕組み 確認したい点
固定報酬型 毎月一定額を支払う 稼働量、担当人数、対応範囲、レポートや改善業務が含まれるか
成果報酬型 商談・受注など設定した成果に応じて費用が発生する 何を成果とするか、既存顧客から自然に発生した受注との区別方法
固定+成果報酬型 固定費と成果報酬を組み合わせる 固定費に含まれる業務と成果報酬の対象範囲
従量課金型 架電数や対応件数など作業量に応じて費用が発生する 1件の定義、最低発注量、リスト整理や改善業務が別料金か

見積もりを比較する際は金額だけでなく、依頼できる工程、成果の定義、契約期間、レポート内容、改善対応の有無まで確認しましょう。

営業代行全般の料金相場や会社ごとの特徴も確認したい方は、営業代行会社の比較・費用相場をまとめた記事も参考にしてください。

アップセル・クロスセル営業に関するよくある質問

アップセルとクロスセルはどちらを優先すべきですか?

どちらかを一律に優先する必要はありません。現在の契約では利用量や機能が不足している場合はアップセル、別の課題が発生している場合はクロスセルが候補になります。

顧客の課題に対して、どちらの提案がより適しているかで判断しましょう。

契約更新時はアップセルを提案した方がよいですか?

更新時期は利用状況や今後の課題を確認しやすいタイミングですが、必ずアップセルする必要はありません。

現在のサービスを十分活用できていない場合や不満がある場合は、追加提案よりも利用定着や問題解決を優先した方がよいケースもあります。

アップセル・クロスセル営業はすべて外注できますか?

対象顧客の選定からアプローチ、商談、効果検証まで対応する営業支援会社もあります。ただし、対応範囲は会社によって異なります。

また、値引きや特別な契約条件、重要顧客との関係調整、高度な専門説明などは、自社が判断・対応した方がよいケースがあります。

営業代行会社にはどの情報を渡す必要がありますか?

一般的には、対象顧客情報、現在の契約内容、商品・サービス資料、提案条件、過去の対応履歴などが必要になります。

ただし、顧客情報を外部へ共有することになるため、必要な情報だけを共有し、取り扱い方法や権限、セキュリティ面も確認しておきましょう。

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アップセル・クロスセル営業を外注する場合、既存顧客への営業経験、対応できる工程、得意な商材、料金体系などを比較して、自社に合う会社を選ぶ必要があります。

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この記事の監修者

鶴田克之のプロフィール写真

鶴田克之

株式会社ジャパンプ取締役

営業歴20年以上。様々な業界の営業代行を担当し、

楽天やミスミなど大手企業の営業支援も経験。
新規開拓に加え、営業チームの立ち上げ・マネジメントにも携わる。
営業代行の発注設計と会社選定(相場・依頼範囲)に関する内容を監修。

岡林洋祐のプロフィール写真

岡林洋祐

株式会社ジャパンプ取締役

営業歴15年以上。様々な業界の営業代行を担当。
リクルートやキーエンスなど大手企業の営業支援も経験。
スクリプト改善や架電運用の最適化など、現場で成果を出す実務に強みを持つ。
営業代行で成果を出すための運用設計(品質管理・改善・教育)に関する内容を監修。

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