日本国内のスマホユーザーの割合は毎年増加しています。
総務省の発表によると2019年の段階でスマホの普及率は83.4%となっており、今では10人中8〜9人がスマホを持っていることになります。WEBサイトを検索するスマホユーザーもますます増えているため、Googleは多くのWEBサイトがスマホ対応となることを求めています。
この記事では、WEBサイトにおける「スマホ対応」の定義や、実際にサイトがスマホ対応にできているかの確認方法などを詳しくご紹介します。今後も役立つ基礎知識となりますので、ぜひこの記事を参考にされてください。
1.SEOにおけるスマホ対応が重要な理由
SEO対策ではキーワード選定や内部対策、外部対策が数年前までメインでした。しかし最近ではWEBサイトがスマホ対応であることがこれまで以上に重要視されています。
それというのも2021年の3月からはGoogleが「モバイルファーストインデックス」を実施しており、WEBサイトを運営するのであればスマホ対応にすることは必須となったためです。
まだWEBサイトにおけるスマホ対応について情報を確認していない方は、モバイルファーストインデックスをはじめ、なぜそのような変化が必要になったかをまずは理解しておきましょう。
1.モバイルファーストインデックスとは?
数年前からGoogleが「モバイルファーストインデックス(MFI)」へ移行すると発表していた通り、2021年3月からは全てのサイトでこれが実施されています。モバイルファーストインデックスとは、インデックス登録や検索順位の決定においてPCサイトではなく、スマホサイトを基準として行うことを意味します。
つまりスマホサイトとしての操作性を考慮してWEBサイトを作成する必要があるということです。そのため「自分のサイトはモバイルユーザーのアクセスが少ないから関係ない」ということにはできません。すべてのサイトにてモバイルファーストインデックスが実施されるため、WEBサイトを運営するのであればスマホに対応したサイト設計が必要になります。
似たような概念に「モバイルフレンドリー」というSEO用語がありますが、モバイルフレンドリーとはWEBサイトを”スマホ向けに見やすく・使いやすいサイトの状態にすること”を指します。一方で、モバイルファーストインデックスは、WEBサイトを”スマホサイトを基準として評価するアルゴリズムのこと”です。
それぞれの違いについては覚えておくと良いでしょう。
2.なぜGoogleはスマホ対応に力を入れている?
ではなぜGoogleはWEBサイトのスマホ対応化に力を入れているのでしょうか。
その理由は、スマホの普及によって検索エンジン全体におけるスマホユーザーの検索比率が大きくなったことが要因として挙げられます。つまり、WEBサイトを”作る側”はパソコンを使用していたとしても、WEBサイトを”閲覧する側”は圧倒的にスマホユーザーが多いということです。
パソコンで閲覧しやすい作りになっているWEBサイトが、スマホでも同じように閲覧しやすいとは限りません。スマホで検索した時に、パソコン向けに作られたサイトが上位表示されるよりも、スマホ向けに見やすいサイトが上位表示される方がスマホユーザーにとっては使いやすい検索エンジンとなります。
そのような背景から、Googleはスマホ対応をWEBサイトの運営者に求めるようになりました。
2.SEOでスマホ対応しているかを確認する方法
ではどのような方法で自分の運営しているWEBサイトがスマホ対応の設計になっているかを調べることができるのでしょうか。
主な方法としては下記のようなものがあります。
・モバイルフレンドリーテストを行う
・Googleサーチコンソールで確認する
・PC画面でスマホでの見た目をチェックする
それぞれの方法について、詳しくご紹介します。
1.モバイルフレンドリーテストを行う
「モバイルフレンドリーテスト」とは、Googleが提供する無料ツールです。
自分が運営しているWEBサイトのURLを入力するだけで、サイトがスマホ対応になっているかをチェックできます。通常1分ほどでテストが完了・判定結果が出るため、自分のサイトがスマホユーザーにとって使いやすいかどうかを客観的に判断できます。
モバイルフレンドリーテストの結果、「このページはモバイル フレンドリーです。」と表示されればスマホ対応のWEBサイトとして評価されていることになります。一方で基準を満たしていない場合「モバイルフレンドリーではありません」という判定結果になり、その主な原因が簡潔に表示されます。
例えば、下記のように理由が表示された場合、その該当箇所を修正しましょう。
「× テキストが小さすぎて読めません」
「× リンク同士が近すぎます」
「× モバイル用viewportが設定されていない」
モバイルフレンドリーテストは何度でも無料で使用できるため、定期的にチェックしてみると良いでしょう。
2.Googleサーチコンソールで確認する
「Googleサーチコンソール」でも、モバイルフレンドリーかどうかをチェックできます。Googleサーチコンソールにアクセスし「エクスペリエンス」の項目にある「モバイルユーザビリティ」をクリックすると、WEBサイトのモバイルユーザビリティにおけるステータスを確認できます。
「エラー」として表示されている内容があれば、その内容に沿った修正を行いましょう。
主なエラーとしては下記の7種類があります。
・互換性のないプラグインを使用しています
・ビューポートが設定されていません
・ビューポートが「端末の幅」に収まるよう設定されていません
・コンテンツの幅が画面の幅を超えています
・テキストが小さすぎて読めません・クリックできる要素同士が近すぎます
これらのエラーにおける具体的な内容や対応方法は、Googleサーチコンソールの公式サイトにて掲載されています。エラーがある場合は内容を確認して対応しましょう。
3.PC画面でスマホでの見た目をチェックする
WEBサイトでコンテンツを作成する場合、パソコンで作業する方も多いと思います。この場合、パソコンを使ったままスマホでの操作性をチェックする方法もあるので、有効活用しながらコンテンツを作成すれば便利です。
使用しているパソコンの種類にもよりますが、例えばMacの場合は「⌘+option+i」を押すとデベロッパーツールを開くことができます。デベロッパーツールを開き、ツールバーの中の「デバイスツールバー」をタップするとパソコンでの見た目とスマホでの見た目を切り替えられます。
もちろん自分のスマホを使用してWEBサイトにアクセスし、チェックすることも可能ですが、細かな修正がある場合はパソコンからスマホでの見た目をチェックしながら修正していくとよいでしょう。
3.SEOを考慮したスマホ対応サイトにする方法
SEOをスマホ対応サイトにする主な方法としては下記のようなものがあります。
・レスポンシブデザインにする
・ページの表示速度を見直す
・コンテンツ内容がわかりやすいレイアウトにする
・モバイルユーザビリティを意識する
それぞれについて詳しく紹介します。
1.レスポンシブデザインにする
「レスポンシブデザイン」とは、WEBサイトを閲覧するユーザーが使用するデバイスにあった画面に最適化するデザインのことを指します。
サイトにアクセスするユーザーは、パソコン・スマホ・タブレット端末など、使用しているデバイスは様々。デバイスごとに一つずつWEBサイトを作成していたら作業量も増えて管理が大変になってしまいます。しかしユーザーのデバイスに合わせて自動的に画面が切り替えられるデザインにしておけば、ユーザビリティを損なうことはありません。
WEBサイトをレスポンシブルデザインする方法は、運営しているWEBサイトのタイプによって異なるため、自分が運営しているサイトに合わせた方法を調べ、適用しましょう。
2.ページの表示速度を見直す
WEBサイトの表示速度もモバイルユーザーが使いやすいサイトにするためには必要な要素です。
パソコンとスマホではスペックが異なるため、重い画像や動画、読み込みに時間がかかるようなデザインにしているサイトはモバイルファーストインデックスの評価が下がる可能性があるため注意しましょう。
WEBページの表示速度を計る方法は複数ありますが、有名な方法としてはGoogleが提供する無料ツールである「Googleアナリティクス」上でチェックできます。Googleアナリティクスに登録しておけば、レポート画面から「行動」→「サイトの速度」→「概要」にてクリックすることで平均読み込み時間などを確認できます。
また「サイトの速度」→「ページ速度」を開けば、アクセス回数が多いページから順に表示速度を確認できるほか、平均読み込み時間に比べて速いか遅いかもチェックできるので有効活用しましょう。
3.コンテンツ内容がわかりやすいレイアウトにする
パソコン画面で見た場合とスマホ画面で見た場合では、画面の大きさが異なるためコンテンツの見やすさに違いが出てきます。
モバイルファーストインデックスにおいても従来どおりコンテンツの内容が重視されるため、パッと見た段階でそのコンテンツがユーザーに何を提供するのかわかりやすいようにしましょう。
例えば、ひとつのページに複数のテーマが含まれている場合は、そのページが何を伝えたいのかがわかりづらくなり、ユーザーにとっては価値の低いものになります。
離脱率が上がり結果的にSEOに悪影響となるため、コンテンツの内容がわかりやすいレイアウトにするように心がけましょう。
4.モバイルユーザビリティを意識する
ここまで紹介したことを含め、WEBサイト全体において「モバイルユーザビリティ」を強く意識しましょう。
モバイルユーザビリティとは、簡単にいうと「スマホユーザーが見やすい・使いやすいサイト」ということです。SEOはユーザーファーストで作られたコンテンツを評価します。例えば、ヘッダー・フッターメニューの位置を調整したり、カテゴリー分をわかりやすくしたり、パンくずリストを作成したりするなど、方法はさまざまです。
テクニックやツールではなく、いかにスマホユーザーに配慮されているかが重視されるため、自分でWEBサイトを閲覧したり、第三者に閲覧してもらい改善箇所を指摘してもらい改善していきましょう。
4.SEOにおけるPC・スマホユーザーの行動の違い
一言に「検索」といってもパソコンユーザーとスマホユーザーでは検索行動に大きな違いがあるとされています。
それぞれの違いについて、以下で詳しく紹介します。
1.PC検索とスマホ検索の違い
パソコンで検索する場合とスマホで検索する場合の主な違いをまとめると下記のとおりです。
項目 | パソコン検索 | スマホ検索 |
検索環境 | 椅子に座りながらじっくり | 歩きながら刹那的に |
検索ニーズ | 深く知りたい・調べたい・比較したい | 行動を起こす瞬間に情報を得たい |
画面 | 大きく横長、1つのページに情報量多数 | 小さく縦長、スクロールしながら情報を探す |
上記のような他にも細かい違いがあるものの、スマホを使用する際には「パソコンよりもより手軽に情報を得たい」というユーザーの傾向があります。状況にもよりますが、多くのユーザが歩きながら検索したり、瞬間的な「知りたい・買いたい・行きたい」といった欲求に合わせて検索が行われます。
2.スマホユーザーは「知りたい」が多い
スマホユーザーの中でも比較的多い検索ニーズが「知りたい」です。
瞬間的に「知りたい」を思ったことをスマホで検索するということが多いため、WEBサイトにおいて重視されるコンテンツは、手軽かつ簡潔に情報が得られるようなものです。反対に、「買いたい」という場合においては検索よりも、SNSなどで評判を聞いてからピンポイントに商品名を検索するといった行動が多くなっているようです。
そのため、スマホ時代においてWEBサイトのアクセスを伸ばすうえでは、商品のセールスページだけではなく、ユーザーへ簡潔に情報を伝えられるコンテンツを作成することも大切になります。
5.SEOでスマホ対応する際の注意点
SEOにおいてモバイルファーストインデックスに対応する方法を紹介してきましたが、次は注意点について簡潔に紹介します。
モバイルファーストインデックスを意識したSEO対策をおこなううえでは下記の点に注意しましょう。
・モバイルユーザービリティを下げない
・Googleのガイドラインを忘れない
・定期的にコンテンツやデザインを見直す
・従来のSEO対策も引き続き重要
それぞれについて詳しく紹介します。
1.モバイルユーザービリティを下げない
ここまでも紹介したとおり、モバイルファーストインデックスにて評価を受けるためには「スマホユーザーにとって見やすいか・使いやすいか」が重要な指標となります。
そのためのWEBデザインの研究などは進んでいますが、常に使いやすく見やすいサイトを作成することを意識しましょう。特にスマホ画面では一度に表示できる情報量が少ないため、表示する内容の順番やレイアウトが大切になります。
自分が見せたいものだけを詰め込むのではなく、ユーザーに伝わりやすくなることを意識しながらWEBサイトのコンテンツを作成しましょう。
2.Googleのガイドラインを忘れない
モバイルファーストインデックスに移行しても引き続きGoogleのガイドラインには注目しましょう。
Googleは常にユーザビリティの向上を目指してアップデートを続けています。どんなに素晴らしいコンテンツでも、Googleのガイドラインを無視するようなWEBサイトは評価を受けにくくなるだけではなく、場合によっては評価が下がる可能性もあります。
Googleの検索アルゴリズムの仕組みは公表されていないため、ガイドラインはWEBサイトを運営していくうえでのヒントとなります。モバイルファーストインデックスに移行したとしてもガイドラインには準拠してWEBサイトの運営を行いましょう。
3.定期的にコンテンツやデザインを見直す
WEBサイトのコンテンツやデザイン、レイアウトは定期的に見直しましょう。
競合サイトなどを閲覧し、自分のサイトよりも見やすいと思うのであれば参考にすることが大切です。無理に奇抜な変更する必要はありませんが、ユーザー目線で常にWEBサイトをアップデートしていき、ユーザビリティの向上を心がけましょう。
4.従来のSEO対策も引き続き重要
モバイルファーストインデックスへの対処法を紹介してきましたが、下記のような従来どおりのSEO対策も引き続き重要です。
・的確なキーワード選定
・質の高いコンテンツ作成
・競合分析
・内部対策
・外部対策
・分析・解析・改善
SEOに終わりはなく、常に試行錯誤が必要になります。これからも時代の変化によってGoogleのアルゴリズムはアップデートされていきますが、基本を忘れないようにしましょう。
まとめ
SEOにおけるスマホ対策は、基本的にスマホユーザーが見やすく・使いやすく設計することが大切です。まずは自分が運営しているサイトを「モバイルフレンドリーテスト」にかけてみて、何か改善すべき点がないかをチェックしてみましょう。
総務省の発表によると、スマホは2010年ではわずか9.4%の普及率でしたが2019年には83.4%という爆発的な伸びを見せています。この普及率はパソコンの69.1%という普及率を大きく上回っていることからもわかるとおり、これからもWEBサイトがスマホ対応あることは必須条件と言えるでしょう。
今回の記事でご紹介した内容を参考に、是非スマホユーザーにとって使いやすく・見やすいサイトになるように心がけてみてください。