現在では誰でも簡単にWEBサイトを作れるようになりましたが、「導線」をしっかり考えている人は多くありません。しかしこの導線がしっかりしていなければ、優れたコンテンツがあっても上手く集客できない可能性が上がってしまいます。
この記事ではWEBマーケティングにおける導線の意味と重要性、導線として使えるツールとその特徴などを詳しく解説します。WEBマーケティングにおける基礎の一部であり、ぜひ確認しておきたい情報です。
WEBサイトを運営している方や集客を増やしたい方は、ぜひ今回の記事を導線設計の参考にされてください。
1.WEBマーケティングの「導線」とは?
まずはWEBマーケティングの「導線」という言葉の意味と、混同しやすい「動線」との違いについて紹介します。
1.「導線」とは?
マーケティングにおける「導線」とは、WEBサイトの作り手側がユーザーにどのように動いて欲しいかを決め、それにそって作成するルートのことを指します。たとえば「最終的に自社の商品を購入して欲しい」という目的があった場合、その目的を達成するためにユーザーが通るべきルートを「導線」といいます。
多くの商業施設や店舗では、「来客が買い物しやすい導線設計」を行っています。WEBマーケティングでも同じように、自社の売り上げをあげるためにWEB上で導線設計をする必要があります。
2.「導線」と「動線」の違いについて
「導線」に似た言葉として「動線」があります。この違いは何なのでしょうか?「導線」はWEBサイトの運営者が設計するものに対し、「動線」は実際にユーザー(訪問者)が通るルートのことを指します。
2.WEBマーケティングの「導線」と「動線」はなぜ重要?
WEBマーケティングで「導線」と「動線」が重要視されている理由は、自社のマーケティングに大きな影響を及ぼすからです。
その具体的な理由をみていきましょう。
1.「導線」の重要性について
「導線」はWEBサイトにおいて集められたデータや人間の行動心理に基づいて「より効果のあるサイトにする」という目的で設計されます。まったく導線が考えられてないWEBサイトだった場合、WEBサイトの作成者は適当にコンテンツや購入フォームなどを設置することになります。
実物の商業施設で例えてみましょう。
もしあなたが車でショッピングモールに到着し、入り口がすぐに見つからなければストレスが溜まるでしょう。お客さんが駐車場からモールに入りやすい場所、見つけやすい場所に入り口を設置するのも「導線設計」です。
WEBサイトも同じく、導線設計がなされていないサイトはどこに何があるかが分かりづらくなってしまいます。結果的にユーザーの離脱率があがり、思い通りの成果がでないWEBサイトになってしまいます。そのため、しっかりと導線を作成し、ユーザーが目的を達成しやすいように工夫することが大切です。
2.「動線」の重要性について
一方で「動線」(ユーザーが実際に使うルート)はWEBサイト改善のヒントになります。設計した「導線」と、実際にユーザーが使うルートである「動線」が一致しないのであれば、WEBサイトを改良する必要があります。
実際の商業施設で例えてみましょう。駐車場から見える場所に入り口を設置したにも関わらず、お客さんは駐車場の横のフェンスを乗り越えてお店に入ってきていたとします。つまりお客さんにとっては「あの入り口は遠回りすぎて入りづらいから、フェンスを乗り越えて入店している」ということになります。
その場合、店舗側は入り口を増やすか位置を変えるといった対応が必要になります。WEBサイトも同じく実際のユーザーが通るルートである「動線」を参考にして、「導線」を改良していく必要があります。
どうにかして「導線」通りにお客さんを動かそうとするのではなく、お客さんの「動線」を参考にすることです。その改良のヒントなる点において、動線の解析・分析はとても大切です。
3.WEBマーケティングにおける導線設計のポイント
ではWEBマーケティングにおける導線設計では何に注意すればいいのでしょうか?
具体的には下記の点を意識して導線を設計しましょう。
・WEBマーケティングの目的を明確にする
・WEBサイト・各メディアの役割を明確にする
・ユーザビリティを重視する
・導線はできる限りシンプルにする
・継続的に効果測定・分析をする
上記の点について、ひとつずつ紹介します。
1.WEBマーケティングの目的を明確にする
まず、自社のWEBマーケティングの目的を明確にしましょう。たとえば「商品を売るためのマーケティング」なのか「ファンを増やすためのマーケティング」なのかなど目的によって取るべき手段は異なります。
たとえば自社のWEBサイトへの流入数が増えたとしても、アンチやいたずら目的のユーザーが多ければ逆に自社ブランドの価値が下がるといったこともあります。「〇〇で困っている人に〇〇という商品を買ってもらう」という目的があれば、それにあった導線設計やハードルの設置ができるようになります。
2.WEBサイト・各メディアの役割を明確にする
WEBマーケティングにおいて、WEBサイトや利用する各メディアの役割はハッキリさせておきましょう。現在ではさまざまなWEBマーケティングに使えるツールがありますが、考えなしに使えばいいというものではありません。
たとえば「Youtube=多くの人に興味を持ってもらえるコンテンツの発信」、「メルマガ=よりディープな情報を提供して興味のある人を選別」、「WEBサイト=商品購入を検討している人に特化する」というような感じです。
このように、各メディアの役割を決めておくことで「どのタイミングでそのメディアにユーザーを導けばいいか?」がハッキリします。
3.ユーザビリティを重視する
導線設計において大切なのは「ユーザビリティ」、つまり使いやすさです。「導線」は基本的に運営側が意図的に設置するものですが、導線の改善は実際のユーザーの動向である「動線」を参考にする必要があります。
「ユーザーをこう動かしたい」という固執するのでなく、ユーザーの動向を観察し「こう改善すればもっと自社の目的とする方向へ動いてくれるのではないか」という臨機応変な視点を持つが大切です。
4.導線はできるかぎりシンプルにする
導線は改善するごとにシンプルになることが望ましいです。改善するにあたり、別のメディアを挟んだり、ユーザー側のアクションの必要性が増えるとユーザビリティの低下に繋がります。
たとえば、「メールアドレスを登録してください」、「規約に同意してください」などのアクションが何度も必要になるとユーザーは負担に感じ、離脱してしまいます。使われていない導線や、離脱率が多いメディアなどは思い切ってカットするなどしてシンプルな導線設計を心がけましょう。
5.継続的に効果測定・分析をする
導線設計の答えはユーザーの行動にあります。そのため、導線を作成したら公開してテストしてみましょう。
その結果を分析し、導線設計の改善に活かしましょう。
4.WEBマーケティングの主な集客導線5つ
WEBマーケティングの導線設計において、こうしなければいけないというルールはありません。
しかし、大まかにわけて現在主流のものとしては下記の6つがあります。
・自然検索
・広告検索
・Youtube
・SNS
・PR
・直接流入
これらについて、ひとつずつ紹介します。
1.自然検索
1つ目は自然検索です。
自然検索とは、ユーザーが自主的にGoogleの検索ツールなどを使いその結果表示されたサイトに流入することを指します。自然検索による流入を増やすためには、SEO対策など長期的な目線での運営が必要ですが、継続的かつ効果的な流入数を増やす上での基本的な方法となります。
2.広告検索
2つ目は広告検索です。
対価を支払いWEB広告を出稿することで、自社サイトを上位表示し流入数を増やす方法です。SEO対策などをする必要がなくスピーディに集客ができる一方で、コストがかかることと出稿を停止すると流入が止まるといったデメリットもあります。
広告効果が上がれば上がるほど必要になる費用は高額になるため、予算にあわせて活用しましょう。
3.Youtube
3つ目はYoutubeです。
YoutubeはGmailアドレスがあれば誰でも登録でき、ビジネスツールとしても活用できるため多くの人に活用されている導線経路です。自社の想定する顧客にあわせて動画コンテンツを投稿し、説明欄に自社サイトのURLやメルマガ登録フォームを設置することなどができます。
新規顧客獲得ツールとしてはトップレベルで優秀な反面、ジャンルによっては競合が多い点と継続的に動画コンテンツを作成する時間が必要になります。
4.SNS
4つ目はSNSです。
・Twitter
・Instagram
・Facebook
などの有名SNSを集客導線として使う方法です。
飲食店やファッション系で若者向けなのであればInstagram、セミナー、資格系で中年齢層向けであればFacebookといったように、自社のコンテンツに合ったSNSを選ぶ必要があります。
5.PR(Public Relations)
5つ目はPRです。
メディアなどにお金を払い、広告してもらう方法です。
従来では雑誌などが一般的でしたが、現在では有名企業などのサイトなどを活用したプレスリリースなどもあります。
自社コンテンツの顧客がよく目にするメディアを活用することで効果のある宣伝方法になる一方で、コストがかかるという欠点もあるため、予算に応じた活用が必要です。
6.直接流入
6つ目は直接流入です。
直接流入とは、ブックマークやお気に入りなどから直接ユーザーが流入してくることを指します。直接流入が増えれば広告に頼ることなく安定的なアクセスが見込めるため、力を入れるべき部分でもあります。
しかし、ブックマークやお気に入りなどをしてくれるリピーターを増やすには、自然検索やSNSなどを活用し長期的な目線でコツコツとした集客が必要です。
5.WEBマーケティングにおける集客導線の選び方
WEBマーケティングにおいて集客導線を選ぶ際には下記のポイントを意識しましょう。
・自社のジャンルに合わせる
・想定ユーザーが利用しているサービスを使う
・拡散性の高いサービスを使う
・効果測定可能なサービスを使う
上記のポイントについて、ひとつずつ解説します。
1.自社のジャンルに合わせる
1つ目は自社のジャンルに合った集客導線を使うという点です。集客導線としてはさまざまな媒体がありますが、自社のジャンルに合った媒体を使うことで集客効果を高めることができます。
たとえば、レストランであればInstagramのような視覚的に訴求できるSNSがいいでしょうし、ヨガや筋トレといった健康系であればYoutubeのような動画配信サイトが有効でしょう。どの媒体でもある程度うまくいっている人がいるため、多くの媒体に参入したくなるかもしれませんが、まずは1つに絞ってマーケティングしてみましょう。
余裕が出てきてから複数の媒体を活用することをおすすめします。
2.想定ユーザーが利用しているサービスを使う
2つ目のポイントは、自社のサービスを利用しそうなユーザーが使っているかどうかという点です。
たとえば、Instagramは若年層のとくに女性が多いとされています。一方でFacebookは中年層の男女が使っているとされています。Youtubeは幅広い年齢層に支持されており、ジャンルもさまざまです。
「自社が提供するサービスに興味がある人は主にどの媒体を利用しているか?」とリサーチし、それに合わせた媒体を活用しましょう。
3.拡散性の高いサービスを使う
3つ目は拡散性の高いサービスを使うという点です。
最近の媒体では「シェアボタン」があるため、基本的には拡散性がありマーケティングツールとして大きな期待が持てます。拡散するジャンルやネタは媒体によっても傾向が異なるため、自社が活用を検討している媒体でよく拡散されているものの特徴を研究し、拡散されやすいコンテンツを提供しましょう。
4.効果測定可能なサービスを使う
4つ目は効果測定可能なサービスを使うことです。
「導線設計では実際のユーザーの動き(動線)に合わせて改善が必要」と紹介しました。つまり、導線を改善するには効果測定できることが前提となります。
TwitterやYoutubeなどは無料のアナリティクスを公開しているため、ある程度こと細かなデータを拾うことができます。WEBサイトなどでも「Googleアナリティク」といった無料の解析ツールに登録することで、ユーザーの動線をある程度視覚的に確認することができます。
ユーザビリティの向上には必須なので、利用する媒体は効果測定ができるものを選ぶか、効果測定できるツールを導入しましょう。
まとめ
マーケティングにおける「導線」とは、WEBサイトの作り手側がユーザーにどのように動いて欲しいかを決め、それにそって作成するルートのことを指します。
導線設計が考えられていないWEBサイトなどは、ユーザーにとっては使いづらいものとなります。このことから分かる通り、「導線」はあくまでも運営者の主観が少なからず入るため、実際のユーザーが辿る「動線」とは一致しないことがあることは理解しておきましょう。導線は実際のユーザーの動向を解析・分析し継続的な改善が必要となります。
今回の記事を参考に、自社サービスの利用・購入につながる導線設計を行い、使いやすいサイトを目指しましょう!