SaaS企業の多くは、専門性の高い営業スキルの確保や営業リソースの不足など、さまざまな営業課題を抱えています。市場競争が激化する中、効率的な営業体制の構築は、事業成長のためにも必要です。

このような課題を解決する選択肢として、営業代行サービスが注目を集めています。SaaS業界に精通した営業代行企業を活用すれば、専門的なスキルを持つ人材の確保や、営業リソースの最適化が可能になるでしょう。

本記事では、SaaS企業向けの営業代行サービス5社の特徴や、料金体系までわかりやすく解説していきます。営業体制の強化を検討している企業の方は、ぜひ参考にしてください。

SaaS企業向けの営業代行サービス会社5選

SaaS企業向けの営業代行サービスは、近年注目を集めています。多くのSaaS企業が営業リソースの確保や効率的な市場開拓に課題を抱える中、専門性の高い営業代行サービスが解決策として台頭してきました。

ここでは、SaaS業界での実績が豊富で、高い評価を得ている5社を紹介します。それぞれの企業が持つ強みや特徴的なサービス内容を確認していきましょう。

株式会社ネオキャリア

出典:ネオキャリア公式

株式会社ネオキャリアは、20年以上の実績を持つ人材サービス企業として、SaaS企業の営業課題を包括的に解決するサービスを提供しています。

ネオキャリアの特徴は、テレアポからインサイドセールス、営業代行まで、営業プロセス全体をワンストップで支援できる体制を整えている点です。専属チームによる業務設計から実施まで、一貫した支援を受けられるため、SaaS企業は自社の営業活動に集中できます。

ネオキャリアの概要は、以下のとおりです。

代行業務
  • コールセンター代行
  • 営業代行
  • テレアポ代行
  • インサイドセールス代行
  • 採用代行サービス
料金体系 コール課金型
料金 個別お見積り
実績 10,000社以上の取引実績(ネオキャリアグループ年間支援実績)
所在地 東京都新宿区西新宿1丁目22番2号 新宿サンエービル2F

ネオキャリアのサービスを活用すれば、SaaS企業が抱えるリード獲得から商談化までの課題をスムーズに解消できるでしょう。

株式会社ジャパンプ

出典:ジャパンプ公式サイト

株式会社ジャパンプは、SaaS業界を含む幅広い業界で10年以上の営業代行実績を持つ企業です。新規アプローチからクロージングまで、営業プロセス全体をカバーする総合的なサービスを提供しています。

ジャパンプの特徴的な点は、料金体系の透明性と柔軟性です。コール課金型と固定報酬型の2つの選択肢を用意していて、企業のニーズや予算に応じて最適な契約形態を選べます。

例えば、コール課金の場合はリスト1件あたり300円からと明確な価格設定で、訪問営業代行では月額50万円からと具体的な金額が提示されています。料金の透明性は、予算計画を立てる際の判断材料となるでしょう。

株式会社ジャパンプの概要は、以下のとおりです。

代行業務
  • テレアポ代行
  • 訪問営業代行
料金体系
  • コール課金型
  • 固定報酬型
料金
  • コール課金:リスト1件300円~
  • 事前準備3万円~
  • 訪問営業代行:固定報酬月額1人50万円~
  • 事前準備3万円~
  • アポイント課金:要問い合わせ
実績 300社以上の営業支援実績
所在地 東京都新宿区新宿5-4-1 新宿Qフラットビル8F

新規開拓からの商談化に課題を抱えるSaaS企業にとって、明確な料金体系と豊富な実績を持つジャパンプのサービスは、魅力的な選択肢となるでしょう。

セイヤク

出典:セイヤク公式サイト

20年以上の人材サービス実績を持つウィルオブ・ワークが展開するセイヤクは、特にIT業界での営業支援に定評があります。従来の営業代行サービスとは一線を画す、包括的な支援体制が特徴です。

セイヤクの強みは、商談獲得から契約締結後のフォローまで、営業プロセスを一貫して支援できる体制です。直接雇用の専門スタッフによる高品質なサービス提供により、導入企業の営業課題を着実に解決していきます。

セイヤクの概要は、以下のとおりです。

代行業務
  • テレアポ代行
  • 訪問営業代行
料金体系
  • コール課金型
  • 固定報酬型
料金
  • コール課金:リスト1件300円~
  • 事前準備3万円~
  • アポイント課金:要問い合わせ
実績 2800社を超える取引実績
所在地 東京都新宿区新宿三丁目1番24号 京王新宿三丁目ビル3階

2,800社を超える支援実績からは、大手企業からスタートアップまで、幅広い企業の信頼を獲得していることが分かります。営業課題に応じて柔軟にチーム編成を行い、企業のフェーズやニーズに合わせた最適な支援を提供している点も、多くの企業から評価されている理由でしょう。

セレブリックス

出典:セレブリックス公式サイト

セレブリックスは、SaaS企業のインサイドセールスに特化した独自の営業システムで、業界から注目を集めている営業支援のスペシャリストです。12,000商品以上の営業支援実績を持つ同社は、戦略立案から実践的な営業活動まで、包括的なアプローチを提供しています。

ターゲット企業の選定から商談、契約締結まで、営業プロセス全体を見据えたシステム構築がセレブリックスの強みです。とりわけSaaS業界向けのインサイドセールスでは、業界特有の商談プロセスを熟知したチームが、成果にこだわった支援を展開しています。

セレブリックスの概要は、以下のとおりです。

代行業務
  • 営業支援事業
  • 人材支援事業
料金体系
  • 要問い合わせ
実績 12,000商品以上の営業を支援
所在地 東京都江東区有明3-7-18 有明セントラルタワー7階

セレブリックス社は、企業ごとの営業課題に合わせて柔軟に対応できる提案力が強みです。営業支援と人材支援を組み合わせたアプローチにより、課題解決だけではなく、持続的な成果を生み出す仕組みを提供してもらえるでしょう。

3MA

出典:3MA公式サイト

IT業界のインサイドセールスに特化した営業支援で、独自のポジションを確立しているのが株式会社3MAです。

外資系IT企業出身者が設立し、同様のバックグラウンドを持つ営業チームが集結している点が、3MAの強みです。

特にシステム部門やDX部門へのアプローチに優れた実績を持ち、SMBからエンタープライズまで幅広い企業層への支援経験を有しています。従来型の営業手法に留まらず、データ分析に基づいた科学的なアプローチが特徴的です。

3MAの概要は、以下のとおりです。

代行業務
  • インサイドセールス支援
  • 営業BPO
  • コンサルティング
料金体系
  • 要問い合わせ
実績 SMB~エンタープライズ企業まで多数の開拓実績
所在地 東京都目黒区碑文谷5-9-13-101

営業活動では、架電やメールだけではなく、SNSや手紙など、多角的なコミュニケーション手段を用います。ターゲット企業の特性に応じて最適な手法を選択し、効率的なキーパーソンへのアプローチを実現できるでしょう。

営業代行会社を選ぶ際のチェックポイント

営業代行サービスは会社ごとに強みや対応範囲が異なるため、選び方を間違えると成果につながらないリスクがあります。

特にSaaS商材の営業では、業界理解や提案力、連携体制などが成果に直結するため、自社の課題や目的に合った代行会社を選ぶことが大切です。

ここでは、SaaS企業が営業代行会社を選定する際にチェックしておきたい主なポイントを整理していきます。

SaaS業界での実績の有無

SaaS商材の営業支援を依頼する場合、その業界での支援実績はしっかり確認しましょう。

なぜなら、SaaS営業には業界特有の提案スキルや、導入後の運用を見据えた説明力が求められるため、一般的な営業とは進め方が異なるからです。

例えば、サブスクリプション型の料金体系や、LTV(顧客生涯価値)を意識した提案などは、SaaS営業ならではの観点と言えるでしょう。

実績のある営業代行会社は、過去の事例や対応経験をもとに、適切な戦略設計や提案が可能です。

確認すべき主なポイントは、以下のとおりです。

  • SaaS・クラウド・IT業界での支援経験があるか
  • 類似商材(サブスク型、業務改善系など)の実績があるか
  • KPI(商談件数、CV率など)の達成事例があるか
  • 公開可能な導入企業や成果事例があるか

自社と近い業種や営業モデルでの支援実績があるかどうかを確認しておけば、導入後のミスマッチを防ぎやすくなるでしょう。

営業プロセスの対応範囲

営業代行を検討する際は、自社が任せたいプロセスに対応しているかを必ず確認しておきましょう。

営業活動は「リード獲得」から「クロージング」「アフターフォロー」まで複数の工程に分かれており、代行会社によって対応範囲は大きく異なります。

SaaS商材の営業では、インサイドセールス(商談化)とフィールドセールス(提案・契約)の両立が求められるため、どの部分を外部に任せるかの見極めなければなりません。

委託できるプロセスには、以下のような業務が挙げられます。

  • ターゲットリスト作成・初回アプローチ
  • アポ獲得・商談調整(インサイドセールス)
  • プレゼン・クロージング(フィールドセールス)
  • 契約後の初期フォローやCS業務の一部

どのプロセスまで任せられるかを明確にしたうえで、自社の体制とすり合わせながら検討していきましょう。

成果指標とKPIの明確性

営業代行を導入する際は、「何を成果とするか」を最初に明確にしておきましょう。

KPI(重要業績評価指標)が曖昧なままだと、成果が出ていても「なんか違う…」とズレが生まれやすく、期待値とのギャップに繋がります。

特にSaaSの営業では、アポイント数だけではなく、商談化率や受注単価、LTV(顧客生涯価値)など、多角的な視点で効果を測る必要があります。

チェックすべき指標には、以下のようなものがあります。

  • 月間アポイント件数・商談化率・受注件数
  • 商談からのCV率・受注単価・平均契約期間
  • 顧客獲得コスト(CPA)・ROI・LTV
  • 成果集計の頻度(週次/月次)とレポート形式

事前に成果指標を合意しておくことで、営業代行との評価軸がブレず、適切な改善や対応判断が可能になります。

料金体系と契約条件の柔軟性

営業代行を選ぶ際は、自社の予算や目的に合わせた料金体系や契約条件を柔軟に設定できるかどうかを確認しましょう。

営業代行には、固定報酬型・成果報酬型・ハイブリッド型など、さまざまな料金体系がありますが、それぞれに向き不向きがあります。

例えば「固定報酬型」は予算が立てやすい反面、成果が出なくても費用が発生します。

一方で「成果報酬型」は費用対効果が見えやすいものの、トータルコストが高くなるケースもあります。

選ぶ際に注目すべきポイントは、以下のとおりです。

  • 固定/成果/ハイブリッドのいずれに対応しているか
  • プラン変更や契約期間の見直しができるか
  • 成果未達時の費用調整や解約条件の明確化
  • 初期費用や準備費用の内訳が提示されているか

自社の営業戦略やフェーズに応じて、無理なく続けられる料金設計・契約条件を選ぶことが、安定した成果につながります。

コミュニケーション体制とレポート頻度

営業代行と連携するうえで、日々の報告体制や窓口の明確さは、成果と信頼性の両面に大きく影響します。

SaaS企業の営業では、状況の変化に応じてスピーディーな対応が求められるため、情報共有のスムーズさが成果を左右する場面も少なくありません。

進行状況や商談内容を可視化できていないと「今どうなっているのか分からない」といった不安も溜まりやすくなるでしょう。

チェックしておきたいポイントは、以下のとおりです。

  • 連絡窓口が専任制か、担当が頻繁に変わるか
  • 日次・週次・月次などの報告頻度と内容の詳細
  • 進捗や成果に関するレポートフォーマットの有無
  • Slack・Chatworkなどツール連携の可否

コミュニケーション体制が整っていれば、現場と連携しながら改善点を共有しやすくなり、結果として営業活動の精度も高まります。

セキュリティ体制の確認

営業代行を利用する際は、顧客情報や営業データの取り扱いに関するセキュリティ体制も確認しておきましょう。

SaaS企業では、リード情報・商談履歴・契約内容など、機密性の高いデータを外部と共有する機会が多くなります。

セキュリティ体制が不十分なまま委託してしまうと、情報漏洩やトラブルのリスクにつながりかねません。

事前にチェックすべきポイントには、以下のようなものがあります。

  • 個人情報保護ポリシーや情報管理ルールの有無
  • 営業データの保存先・アクセス制限・ログ管理体制
  • クラウドツールの利用状況とセキュリティ対策の内容
  • 万が一のトラブル時の対応フローや報告体制

代行会社に営業活動を任せる以上、セキュリティリスクへの意識も委託範囲の一部として捉える必要があります。

SaaS企業が抱える営業課題

SaaS企業の営業活動には、従来型のソフトウェアビジネスとは異なる独自の課題があります。サブスクリプション型のビジネスモデルや、クラウドベースのサービス提供という特性から、営業プロセスにも特別な配慮が必要です。

ここでは、多くのSaaS企業が直面する主な営業課題を詳しく見ていきましょう。

専門性の高い営業スキルの必要性

SaaS製品の営業活動では、高度な専門性を持つ営業担当者の確保は、多くの企業が直面する課題の一つです。

なぜなら、SaaS製品の営業には、従来の営業スキルに加えて、ITの専門知識やクラウドサービスへの深い理解が求められるからです。

例えば、顧客企業のシステム環境を理解した上で、製品の技術的メリットを説明できる能力や、導入後の運用イメージを具体的に提示できるスキルが求められます。

具体的には、以下のような専門性が求められるでしょう。

  • クラウドサービスの技術的な基礎知識
  • 顧客企業のDX戦略を理解する業界知見
  • 導入効果を数値で示せる分析力
  • 既存システムとの連携に関する提案力

専門性の高い人材の育成には、通常6ヶ月から1年程度の時間を要します。即戦力となる人材の採用も、市場での人材不足から難しい状況が続いています。

結果として、多くのSaaS企業は営業力の強化に苦心し、事業成長のボトルネックとなっているのが現状です。

営業リソースの不足

SaaS企業、特に事業拡大を目指す段階にある企業にとって、営業リソースの不足は課題の一つです。

急速な市場拡大に対して営業体制が追いつかず、商談の機会を逃してしまうケースも少なくありません。具体的には、以下のような問題が発生する可能性があります。

  • 少人数の営業チームで、多数の案件を抱えざるを得ない
  • 既存顧客のフォローと新規開拓の両立が困難
  • 商談の質を高める準備時間が不足している
  • 増加するリードに対して、適切なフォローアップができない

特に問題となるのは「質の高い商談」の実施です。営業担当者が多くの案件を同時に抱える状況では、個々の商談に十分な時間を割けません。その結果、商談の質が低下し、成約率も下がってしまいます。

新規開拓に注力するあまり、既存顧客のフォローが疎かになるケースもあり、解約率が上昇し、事業の持続的な成長を妨げるリスクが高まります。

市場での認知度向上の難しさ

SaaS市場が急速に拡大する中、新規参入する製品やサービスが増加しており、市場での認知度を高めることが多くの企業にとって課題の一つとなっています。特に新興のSaaS企業にとって、自社製品の価値を競合の中で理解してもらうのは簡単ではありません。

認知度の低さは、営業活動で以下のような課題を引き起こします。

  • 初期接触時に信頼を得るのが難しい
  • 競合製品と比較検討される機会が少ない
  • 商談までのプロセスが長引きやすい
  • 営業担当者が製品説明に多くの時間を割く必要がある

例えば、市場シェアの高い競合製品が存在する分野では、新規参入製品がどれだけ優れた機能を持っていても、そもそも検討リストに入れてもらえない場合もあります。

製品の認知度が低いと、営業の多くの時間を「なぜその製品を選ぶべきなのか」という基本的な説明に使わざるを得なくなり、本来の商談に十分な時間を割けない課題にもつながります。

SaaS企業が営業代行を導入するメリットとデメリット

営業代行は、SaaS企業が抱える営業課題を解決する手段として注目されています。

特に、専門性の高い営業スキルの確保や、限られた営業リソースの効率的活用において、有効な選択肢となる場面は少なくありません。

しかし一方で、外部に業務を委託する以上、自社にとってデメリットとなりうる側面があるのも事実です。

ここでは、SaaS企業が営業代行を導入する際に押さえておきたい「メリット」と「デメリット」の両面から、具体的なポイントを確認していきましょう。

SaaS企業が営業代行を導入するメリット

SaaS企業にとって、営業代行の活用は人手不足解消以上の価値をもたらします。

専門的な知識が求められるSaaS営業に対応できる人材を、社内でイチから育てるには時間もコストもかかるものです。

その点、営業代行をうまく活用すれば、スキルを持った即戦力を短期間で活用でき、営業体制の立ち上げや拡張を加速させることが可能です。

ここでは、SaaS企業が営業代行の導入により得られる具体的なメリットを3つの観点から整理していきます。

高度な営業スキルを即座に活用できる

営業代行を活用すれば、SaaS営業に必要な専門スキルを持つ即戦力をすぐにチームに加えることができます。

SaaS製品の営業は、単に商品を紹介するだけではなく、顧客の課題を深く理解し、技術的背景を踏まえた提案が求められます。

そのためには、ITリテラシーや業界知識、デモスキルなど、複合的なスキルが必要です。

しかし、自社でゼロから人材を育成するには時間がかかり、教育コストも無視できません。

営業代行なら、すでに経験を積んだ営業人材を活用できるため、立ち上がりの早さや成果への直結度が大きく変わってきます。

具体的に、営業代行会社が持つスキルには以下のようなものがあります。

  • クラウドサービスやSaaSモデルへの理解
  • 顧客ヒアリングを通じた課題抽出力
  • 導入提案やROI試算などのロジカルセールススキル
  • デモンストレーションや資料設計の実務経験

上記のようなスキルを社内でゼロから積み上げるのではなく、すでに備えた外部人材を活用できるのが、営業会社に依頼するメリットです。

営業コストや採用負担の削減

営業代行の活用は、企業にとって大きなコスト削減効果をもたらします。

自社で営業人材を採用する場合、単に人件費がかかるだけではなく、採用活動・研修・教育体制の整備など、さまざまな間接コストが発生します。

さらに、せっかく育てた人材が短期間で離職してしまう可能性もあり、営業体制の不安定さに直結するリスクも考慮しなければなりません。

営業代行であれば、こうした採用・教育にかかる負担をまるごと回避しながら、必要なときに必要な戦力を確保できる柔軟性があります。

削減が期待できる主なコストは、以下のとおりです。

  • 採用コスト(求人広告・エージェント利用費など)
  • 教育・研修にかかる人的リソースと時間
  • 離職リスクに伴う再採用・引き継ぎコスト
  • 固定人件費(閑散期も継続的にかかるコスト)

営業代行は、短期で成果を求めたい場合や、営業人員の確保が追いつかない企業にとって、有効な選択肢と言えるでしょう。

新規開拓のスピードアップ

営業代行を導入すれば、新規顧客開拓の初動を大幅にスピードアップできます。

自社で営業体制を整備する場合、ターゲットリストの作成から、アプローチ方法の検討、実行までに時間がかかるものです。

営業代行であれば、すでに仕組み化されたプロセスやノウハウを活用できるため、初動を効率よく進めることができます。

営業活動のPDCA(計画・実行・評価・改善)を外部に任せることで、内製よりも短期間で成果にたどり着けるケースも少なくありません。

スピードアップが期待できる要素は、以下のとおりです。

  • ターゲットリストの自動作成・既存テンプレートの活用
  • 架電・メールアプローチなどの即時実行体制
  • 過去のデータに基づいた戦略設計と改善スキーム
  • 人材アサイン・稼働立ち上げまでの短納期対応

営業代行は、スピード感を重視するスタートアップや、短期間でリードを集めたいフェーズのSaaS企業にとって、効果的な選択肢となるでしょう。

SaaS企業が営業代行を導入するデメリット

営業代行は便利な仕組みですが、すべてのSaaS企業にとって万能な手段とは限りません。

外部リソースの活用により、営業スキルやリソース不足といった課題は解消しやすくなります。

その一方で「自社に知見が蓄積されない」「品質を自社で管理しきれない」といった新たな課題が生じることもあります。

顧客対応を一部外部に任せる以上、信頼関係の構築やブランド管理には、より一層の工夫が求められるでしょう。

ここでは、営業代行を導入する際にあらかじめ把握しておきたい主なデメリットについて、具体的に整理していきます。

自社ノウハウの蓄積が難しい

営業代行を活用する場合、自社に営業ノウハウが残りにくくなる点には注意が必要です。

営業活動を外部に任せることで、実務負担は軽減できますが、顧客との対話や提案内容、受注までのプロセスなど、営業活動で得られる知見が社内に蓄積されにくくなります。

特に、将来的に内製化を目指す企業にとっては、大きなハードルとなる可能性があるため、注意が必要です。

よくある「ノウハウが蓄積されにくい状況」は、以下のようなケースが挙げられます。

  • 商談ログや顧客の声が社内に共有されていない
  • 代行会社とのやりとりが属人化している
  • 営業フローをブラックボックス化してしまっている
  • 成果だけを評価し、プロセスの検証が行われていない

上記のような状況を防ぐためには、定期的な情報共有や業務内容の可視化、担当者間のすり合わせを積極的に実施していきましょう。

サービス品質のばらつきリスク

営業代行は、担当する人材のスキルによって成果に大きな差が出る可能性があります。

同じ会社に依頼しても、誰が担当するかによって対応の質や成果が変わってくることは珍しくありません。

特にSaaS商材のように、提案に高度な理解や説明力が求められる分野では、担当者の理解度が営業結果に直結しやすくなります。

管理体制が不十分な場合、ブランドイメージを損なうような対応が行われるリスクも考えられます。

品質のばらつきが起きやすい主なケースは、以下のとおりです。

  • 担当者の営業経験や業界理解に差がある
  • 引き継ぎや教育体制が整っていない
  • 現場の対応内容を把握する手段がない
  • 品質管理やフィードバック体制が曖昧になっている

営業代行を導入する際は、業務に関する知識や現場の管理方法を事前に確認しておくといいでしょう。

顧客との関係構築が間接的になりやすい

営業代行を利用すると、顧客との最初の接点を外部スタッフが担うことになり、関係構築が間接的になりやすくなります。

特にSaaS商材のように、導入後の継続利用やサポート体制が重視されるビジネスでは、初期対応の印象や信頼関係が、その後の関係維持にも影響します。

外部の担当者がどれだけ丁寧に対応しても、企業としての温度感や一貫性を伝えるのは難しい場面もあるでしょう。

実際に、以下のようなケースで関係構築がうまくいかなくなることがあります。

  • 初回対応が外部スタッフで、社内の担当者との連携が取れていない
  • 顧客の細かな要望や反応が社内に共有されない
  • 対応に時差が生まれ、タイミングを逃してしまう
  • 問題やクレームの対応が遅れ、信頼を損ねるリスクがある

営業代行を活用する場合は、顧客対応の設計や社内との連携体制を意識的に整えることが求められます。

SaaS営業代行の料金体系と相場感

SaaS営業代行サービスを検討する際、多くの企業が気になるのが料金体系と具体的な費用感でしょう。営業代行サービスには、固定料金型、成果報酬型、2つを組み合わせたハイブリッド型など、さまざまな料金体系が存在します。

ここでは、主な料金体系の特徴や相場観を詳しく解説します。

固定料金型

固定料金型は、営業活動の成果に関わらず、毎月定額の料金を支払う基本的な料金体系です。SaaS企業が新規に営業代行サービスを導入する際、最も選択されるプランの一つです。

固定料金型のメリットは、予算管理のしやすさにあります。毎月の支出が明確に定まっているため、事業計画が立てやすく、特に成長過程にあるSaaS企業にとって、リソース配分の計画が立てやすい利点が挙げられます。

一方で、以下のような特徴も理解しておかなければなりません。

  • 営業成果の有無に関わらず一定額を支払う必要がある
  • 長期的なプロジェクトや継続的な営業活動に適している
  • 専属チームの確保が可能で、安定した営業活動が期待できる

固定料金の相場は、一般的な営業代行より高めに設定されることが多く、一人当たり月額30万円~50万円が目安となります。これは、SaaS製品の営業に求められる専門知識や技術的理解が必要とされるためです。

成果報酬型

成果報酬型は、営業活動の具体的な成果に応じて報酬が発生する料金体系で、成果を重視するSaaS企業から注目を集めています。

アポイント獲得や契約締結など、明確な成果指標に基づいて料金が設定されるため、費用対効果を重視する企業に適しています。

具体的な料金相場としては、商談アポイントの獲得で1件あたり約2万円、売上連動の場合は売上の30%以上が一般的です。ただし、この料金設定は成果の定義によって変動する可能性があるため、事前に確認する必要があります。

成果報酬型の料金体系で特に重要なのが「成果」の明確な定義です。具体的には、以下のような点を確認しておきましょう。

  • どの段階を成果として認定するのか
  • 成果達成までの期間設定
  • 契約金額と報酬の連動方法
  • 解約時の報酬調整ルール

成果が出なければコストが発生しないため、リスクを抑えた営業活動が可能です。ただし、成果が予想以上に上がった場合は、想定以上の費用が発生する可能性もあるため、予算管理には注意が必要です。

ハイブリッド型(固定+成果報酬)

ハイブリッド型は、固定報酬型と成果報酬型のメリットを組み合わせた料金体系です。基本となる固定報酬に加えて、成果に応じた報酬が上乗せされる仕組みです。

ハイブリッド型の料金体系の特徴は、安定した営業活動の基盤を確保しながら、高い成果を追求できる点にあります。固定報酬により営業リソースを継続的に確保でき、成果報酬部分が営業チームのモチベーション維持にもつながります。

ただし、以下のような点には注意が必要です。

  • 契約条件が他の料金体系と比べて複雑になりやすい
  • 固定部分と成果連動部分の適切なバランス設定が重要
  • 予算管理では両方の要素を考慮する必要がある
  • 成果の定義や計算方法を明確にしておく必要がある

とはいえ、リスクとリターンのバランスが取れた料金体系であり、長期的な営業支援体制の構築を目指すSaaS企業には理想的な選択肢となるでしょう。

SaaS業界に強い営業代行を選んで課題解決に役立てよう!

SaaS業界の営業代行サービスは、専門性の高い営業スキルの確保や、リソース不足の解消など、多くの企業が抱える課題を解決する有効な選択肢となっています。

各社それぞれに特徴があり、IT業界での実績や料金体系もさまざまです。自社の課題や目標に合わせて、最適なサービスを選択する必要があります。

SaaS業界での支援実績や専門知識、料金体系と自社の予算のマッチング、支援体制の充実度、そしてデータに基づいた効果測定の仕組みなどを総合的に評価すれば、より適切な選択が可能となるでしょう。

営業代行サービスを活用すれば、市場での競争力を高め、効率的な事業成長を実現できます。まずは自社の課題を明確にし、それに合致したサービスを選ぶことから始めてみましょう。

おすすめの記事