飛び込み営業の成功率を調べると、「5%前後」「2〜5%程度」など複数の数字が見つかります。しかし、これらをそのまま自社の基準にするのはおすすめできません。
飛び込み営業では、「担当者と話せた」「アポイントを獲得した」「商談になった」「受注した」のどこを成功とするかで数字が大きく変わるためです。
大切なのは、平均値だけを見ることではなく、訪問から受注までの流れを分解し、どこで成果が落ちているのかを確認することです。
この記事では法人向けの飛び込み営業を中心に、成功率の考え方、見るべきKPIと計算方法、数字が低い原因の見つけ方、改善手順まで解説します。
飛び込み営業の成功率は平均どれくらい?
飛び込み営業には、すべての業界・商材に共通する「平均成功率」はありません。
理由は、飛び込み営業の成果が業界、商材単価、訪問先の規模、エリア、担当者への接触しやすさなどによって変わるうえ、「成功率」の定義も統一されていないためです。
例えば、100件訪問して5件のアポイントを獲得した場合は「訪問からアポまで5%」ですが、同じ100件のうち担当者と話せたのが10件なら、「担当者接触後のアポ率」は50%になります。
この2つは同じ営業活動から算出した数字ですが、改善すべきポイントの見え方はまったく異なります。
「5%」は一律の平均値として使わない
飛び込み営業では「成功率5%前後」という数字を見かけることがあります。ただし、5%をすべての飛び込み営業に当てはまる平均値と考えるのは適切ではありません。
例えば、マイナビProfessionalでは法人の飛び込み営業について、アポイント獲得率を2〜5%程度の目安として紹介しています。一方で、商材や決裁レイヤーによって成果は変わるとも説明されています。
参考:マイナビProfessional「飛び込み営業のコツ8選」
つまり、「5%を超えているから成功」「5%未満だから失敗」と判断するのではなく、自社で何を成果地点にするのかを決め、同じ条件で継続して比較することが重要です。
成功率と成約率は分けて考える
飛び込み営業では、「成功率」と「成約率」が混同されやすい点にも注意が必要です。
成功率という言葉は、担当者への接触やアポイント獲得など途中の成果を指す場合があります。一方、成約率は一般的に商談や提案を行った案件のうち、契約・受注に至った割合を示します。
自社で数字を管理する際は、「成功率」という曖昧な項目だけを置かず、「担当者接触率」「アポ率」「商談化率」「受注率」のように成果地点ごとに分けて記録すると改善しやすくなります。
法人と個人宅では成功率の見方が異なる
法人向けと個人宅向けの飛び込み営業では、営業プロセスが異なるため、成功率をそのまま比較できません。
| 対象 | 主な営業プロセス |
| 法人 | 訪問 → 受付 → 担当者接触 → アポ・商談 → 受注 |
| 個人宅 | 訪問 → 在宅確認 → インターホン対応 → 面談 → 提案 → 契約 |
本記事では、コンペルの利用企業とも関連が深い法人向けの飛び込み営業を中心に解説します。
飛び込み営業の「成功率」は成果地点ごとに分けて考える
飛び込み営業で成果が出ないときに、最終的なアポ率や受注率だけを見ると、原因を特定しにくくなります。
まずは営業プロセスを次のように分解してみましょう。
訪問 → 受付対応 → 担当者接触 → 次回アクション → アポイント → 商談 → 受注
例えば、訪問件数は十分なのに担当者とほとんど話せていない場合、商品説明やクロージングよりも前に問題があります。訪問先、時間帯、担当部署の特定、受付での伝え方などを優先して見直すべきです。
反対に、担当者とは話せているのにアポイントにつながらない場合は、ターゲットとの相性や提案理由、初回訪問のゴール設定などを見直します。
飛び込み営業で見るべきKPIと計算方法
法人向けの飛び込み営業では、最低限次のKPIを分けて管理すると、成果が落ちている場所を見つけやすくなります。
| KPI | 計算方法 | 分かること |
| 受付突破率 | 担当者へ取り次がれた件数 ÷ 受付対応件数 × 100 | 受付がある訪問先で、担当部署・担当者までつないでもらえているか |
| 担当者接触率 | 実際に担当者と話せた件数 ÷ 訪問件数 × 100 | 訪問全体のうち担当者との会話まで到達できているか |
| 次回アクション率 | 資料送付・再連絡・再訪などにつながった件数 ÷ 担当者接触数 × 100 | 担当者との接点を次につなげられているか |
| 訪問ベースのアポ率 | アポ獲得件数 ÷ 訪問件数 × 100 | 飛び込み営業全体の効率 |
| 接触後アポ率 | アポ獲得件数 ÷ 担当者接触数 × 100 | 担当者と話した後の提案力・ターゲット適合度 |
| 商談化率 | 実際に商談した件数 ÷ アポ獲得件数 × 100 | 獲得したアポの質や商談への移行状況 |
| 受注率 | 受注件数 ÷ 商談件数 × 100 | 商談以降の提案・条件・商材との適合度 |
なお、社内で別の定義を使っていても問題ありません。大切なのは、分母と分子を明確にして、同じ定義で継続的に比較できる状態にすることです。
成功率が低い原因をKPI別に診断する
飛び込み営業の数字が伸びない場合は、最終成果だけではなく、どの段階で件数が落ちているかを確認します。
| 数字が低い場所 | 主に確認したいこと | 改善の方向 |
| 1日あたりの訪問数 | 移動距離、訪問エリア、1件あたりの滞在時間 | エリアを絞る、訪問ルートを見直す |
| 受付突破率 | 担当部署の特定、受付での伝え方、訪問先との適合 | 事前調査、用件の伝え方、訪問対象を見直す |
| 担当者接触率 | 担当者の在社状況、訪問時間帯、取り次ぎ後の不在 | 時間帯、再訪条件、事前連絡の有無を見直す |
| 次回アクション率 | 初回訪問の目的、相手にとって話を聞く理由があるか | 即受注だけを狙わず、資料送付・再訪・オンライン説明など次の接点を設計する |
| 接触後アポ率 | ターゲットとの相性、課題仮説、訴求内容、ヒアリング | 対象企業とトークを見直す |
| 商談化率 | アポの目的共有、担当者・決裁者とのズレ | アポ獲得条件や引き継ぎ情報を見直す |
| 受注率 | 提案内容、価格、競合比較、商材と顧客課題の適合 | 飛び込み部分だけでなく商談設計や商品設計も確認する |
訪問数が少ない場合はエリア設計を見直す
飛び込み営業は移動を伴うため、訪問先が広範囲に散らばっていると、営業担当者の努力とは関係なく訪問数が伸びません。
業種や企業規模などのターゲット条件に加え、一定の地域に対象企業が集まっているかを確認しましょう。同じ条件の企業が集中するエリアから訪問することで、移動時間を抑えながら検証件数を確保しやすくなります。
受付突破率・担当者接触率が低い場合は接触までの工程を分けて見る
訪問件数は多いのに担当者と話せない場合、商品説明を磨いても成果にはつながりません。
まず「受付で断られている」のか、「取り次いでもらえるものの担当者が不在なのか」を分けて確認します。受付突破率が低ければ、担当部署の特定や用件の伝え方、訪問対象を見直します。受付は突破できているのに担当者接触率が低ければ、在社しやすい時間帯や再訪条件を確認します。
訪問結果を「受付で断られた」「担当部署が違った」「担当者不在」「担当者と会話できた」などに分けて記録しておくと、次に直すべき点が分かりやすくなります。
担当者とは話せるがアポにならない場合はターゲットと訴求を見直す
担当者接触率が十分なのにアポ率が低い場合は、訪問方法よりも「誰に何を提案しているか」を確認します。
自社の商品説明を長く行うのではなく、訪問先にどのような課題がありそうか仮説を持ち、その課題と自社サービスがどう関係するのかを短く伝えます。
また、初回訪問のゴールを必ずしも商談だけに限定せず、資料送付、別担当者の紹介、後日のオンライン説明など、次の接点を作ることも検討しましょう。
アポは取れるが受注しない場合は飛び込み以降を確認する
アポイントまでは獲得できているのに受注率が低い場合、飛び込み営業のやり方だけを改善しても解決しない可能性があります。
商談時の提案、価格、競合との差、決裁者への接触、アポ獲得時に確認している条件なども見直しましょう。
特に、アポイント件数だけを目標にすると、受注可能性の低いアポまで成果として増えてしまう場合があります。アポ率と受注率をセットで確認することが重要です。
飛び込み営業の成功率を改善する4つの手順
飛び込み営業を改善するときは、一度にすべてを変えるのではなく、ボトルネックを特定して順番に検証します。
1.訪問から受注までの件数を記録する
まず、訪問件数だけでなく、担当者接触、次回アクション、アポ、商談、受注までの件数を記録します。
訪問先企業、業種、地域、訪問時間帯、担当者、訴求内容なども記録しておくと、後から成果の差を比較できます。
2.最も大きく落ちている場所を見つける
記録したデータをもとに、「訪問→担当者接触」「担当者接触→アポ」「商談→受注」など各段階の割合を算出します。
他社の平均値と比べる前に、自社の営業プロセスの中で特に改善余地が大きい場所を探します。
3.改善する要素を絞って変更する
担当者接触率が低ければ訪問時間帯や受付トーク、接触後アポ率が低ければターゲットや訴求内容など、ボトルネックに関係する要素を変更します。
ターゲット、トーク、訪問時間を同時にすべて変えると、何が成果に影響したのか分からなくなるため、可能な範囲で変更点を絞りましょう。
4.同じ定義で再測定する
改善後も同じKPIの定義で記録し、変更前後を比較します。
良かったパターンは営業チーム内で共有し、成果が出なかった施策は別の要素を検証します。この繰り返しによって、自社に合った飛び込み営業の基準値を作っていきます。
100件訪問した場合の数字を例に診断してみる
具体的な見方を、架空の営業データで確認してみましょう。以下は実際の平均値やコンペルの実績ではなく、計算方法を説明するための例です。
| 営業プロセス | 件数 |
| 訪問 | 100件 |
| 担当者接触 | 10件 |
| 次回アクション | 5件 |
| アポ獲得 | 2件 |
| 商談 | 2件 |
| 受注 | 1件 |
この例では、訪問ベースのアポ率は2%です。しかし、担当者接触後のアポ率は20%、商談からの受注率は50%です。
そのため、「アポ率2%だからトークが悪い」とすぐに判断するのではなく、まず100件訪問して担当者と話せたのが10件という部分に改善余地がないか確認できます。
このように、最終的な数字だけでなく途中の歩留まりを見ることで、改善対象を絞りやすくなります。
目標受注数から必要な訪問件数を逆算する
各段階の実績値が蓄積できたら、目標受注件数から必要な訪問件数を逆算できます。
例えば、訪問から受注までを「担当者接触率 × 接触後アポ率 × 商談実施率 × 受注率」として管理している場合、必要訪問数は次の考え方で算出できます。
必要訪問数 = 目標受注件数 ÷(担当者接触率 × 接触後アポ率 × 商談実施率 × 受注率)
以下は計算方法を示すための架空例です。
| 項目 | 例 |
| 月間目標受注数 | 2件 |
| 担当者接触率 | 20% |
| 接触後アポ率 | 25% |
| 商談実施率 | 80% |
| 商談からの受注率 | 25% |
この条件では、2 ÷(0.20 × 0.25 × 0.80 × 0.25)=200となり、月2件の受注目標に対して約200件の訪問が必要という計算になります。
実際には営業期間や再訪、複数回商談などがあるため単純計算どおりには進みませんが、自社の実測値を使って逆算すれば、「月何件訪問する必要があるか」「どのKPIを改善すると必要訪問数を減らせるか」を具体的に検討できます。
成功率を比較するときは条件をそろえる
飛び込み営業の成果を比較するときは、全訪問をまとめて平均するだけでなく、条件別に分けて確認すると改善のヒントが見つかります。
- 業界・業種
- 企業規模
- 地域・エリア
- 訪問時間帯
- 営業担当者
- 提案する商材・プラン
- トーク・訴求内容
例えば、全体の担当者接触率は低くても、特定エリアの午後だけ高いと分かれば、訪問ルートや時間帯を見直す判断材料になります。
ただし、件数が少ない状態で細かく分けすぎると偶然の影響を受けやすくなります。一定件数を蓄積しながら、実務で改善できる単位に分けて比較しましょう。
数字を改善しても成果が出ない場合は飛び込み営業自体を見直す
KPIを改善しても十分な成果が得られない場合は、営業担当者の努力だけでなく、飛び込み営業という手法が商材やターゲットに合っているかを確認します。
例えば、対象企業が広い地域に少数しか存在しない場合は、移動時間が大きくなります。また、受付から担当者へ取り次がれにくい企業が中心の場合や、高度な説明・複数人の意思決定が必要な商材では、飛び込みだけで商談を作ることが効率的とは限りません。
一方、一定地域に対象企業が集中している、対面で商品を見せる価値が高い、訪問によって担当者との接点を作りやすいといった条件では、飛び込み営業を続ける価値があります。
飛び込み営業を続けるか、内製・外注をどう分けるか迷っている場合は、飛び込み営業を外注する際の判断ポイントも参考にしてください。
飛び込み営業を外注するときは成果地点を明確にする
飛び込み営業を営業代行会社へ依頼する場合も、「成功率」の定義を曖昧にしないことが重要です。
単純な訪問件数だけを成果とすると、訪問数は増えても担当者接触や商談につながらない可能性があります。依頼内容に応じて、訪問件数、担当者接触、アポイント、商談など、どの段階をKPI・成果地点とするかを事前にすり合わせましょう。
また、結果だけでなく、受付で断られた理由、担当者不在、対象外だった企業などの活動結果を共有してもらえると、その後のターゲットやトーク改善に活用できます。
訪問営業に対応する営業代行会社を比較したい方は、訪問営業代行会社の比較記事も参考にしてください。
飛び込み営業の成功率に関するよくある質問
飛び込み営業の成功率5%は高いですか?
5%という数字だけでは判断できません。訪問件数に対するアポ率なのか、担当者接触後の商談率なのか、受注率なのかによって意味が異なります。
まず自社の成果地点と計算方法を明確にし、同じ条件で過去実績や施策変更前後を比較しましょう。
飛び込み営業では何件訪問すれば1件受注できますか?
一律には決められません。担当者接触率、アポ率、商談化率、受注率によって必要な訪問件数は変わります。
自社の各KPIを計測すれば、「1受注を得るために平均何件訪問しているか」を逆算できます。
飛び込み営業の成功率を上げるには何から改善すべきですか?
最も数字が落ちている工程から改善するのがおすすめです。受付で止まっているなら担当部署や用件の伝え方、取り次ぎ後に会えないなら訪問時間帯、担当者とは話せてもアポにならないならターゲットや訴求内容を見直します。
飛び込み営業は時代遅れですか?
一律に時代遅れとはいえません。商材、地域、訪問先の特徴によって向き不向きがあります。
成功率だけでなく、人件費・移動時間なども含めた費用対効果を確認し、テレアポやインサイドセールスなど他の手法と比較して判断しましょう。
まとめ|平均成功率より「どこで止まっているか」を確認しよう
飛び込み営業には、すべての企業に共通する成功率の平均値はありません。「5%」などの数字は参考にはなりますが、成果地点や条件が違えば単純には比較できません。
まずは訪問、担当者接触、次回アクション、アポ、商談、受注までを分けて記録し、どの段階で成果が落ちているかを確認しましょう。
ボトルネックが分かれば、エリア設計を直すのか、受付対応を直すのか、ターゲットやトークを変えるのかといった改善策を選びやすくなります。
自社だけで飛び込み・訪問営業を行うのが難しい場合は、対応可能な営業代行会社へ一部または全部を委託する方法もあります。依頼範囲が決まっていない場合でも、まずは対応可能な会社を比較してみるとよいでしょう。
この記事の監修者
鶴田克之
株式会社ジャパンプ取締役
営業歴20年以上。様々な業界の営業代行を担当し、
楽天やミスミなど大手企業の営業支援も経験。
新規開拓に加え、営業チームの立ち上げ・マネジメントにも携わる。
営業代行の発注設計と会社選定(相場・依頼範囲)に関する内容を監修。
岡林洋祐
株式会社ジャパンプ取締役
営業歴15年以上。様々な業界の営業代行を担当。
リクルートやキーエンスなど大手企業の営業支援も経験。
スクリプト改善や架電運用の最適化など、現場で成果を出す実務に強みを持つ。
営業代行で成果を出すための運用設計(品質管理・改善・教育)に関する内容を監修。

