イノベーター理論とは、新しい商品やサービスがどのように消費者に普及していくかを説明する理論のこと。消費者を新商品への購入意欲ごとに5つのカテゴリーに分けることで、マーケティングのタイミングや方法を考えることができる。スタンフォード大学のエベレット・ロジャーズによる著書「Diffusion of innovations」(日本では『イノベーションの普及』または『イノベーション普及学』)の中で提唱された。
イノベーター理論においては、消費者は次の5つのカテゴリーに分類される。
◆イノベーター(革新者:全体の2.5%)
最新技術に最も興味があり、新消費の情報収集も頻繁に行う層。コストパフォーマンスなどよりも新しい商品であることに価値を感じる傾向がある。
◆アーリーアダプター(初期採用者:全体の13.5%)
流行に敏感だが、自分の判断基準で納得しないと新商品を買わない層。商品の新しさよりも実際の利益に注目して購入を決める。アーリーアダプターは商品の良さを発見してブログなどで共有するオピニオンリーダーの役割を担うことが多いため、イノベーター理論で特に重視される。消費者全体のうちでイノベーターとアーリーアダプターを合わせた合計16%の層を獲得できるかどうか(普及率16%の論理)がイノベーター理論の重要な主張となる。
◆アーリーマジョリティ(前期追随者:全体の34%)
新商品の購入には慎重だが、流行には乗り遅れたくないと思っている層。アーリーアダプターが発信したブログやレビューなどを見てから購入を判断する傾向が高い。
◆レイトマジョリティ(後期追随者:全体の34%)
新商品に懐疑的な態度をとる層。商品を消費者の大半が購入しているかどうかが購入の判断基準になる。
◆ラガード(遅滞者:全体の16%)
ほとんど新商品を購入することはない保守的な層。新商品が普及して伝統的、歴史的と言える段階にまでならないと購入を検討することはないとされる。
また、イノベーション理論ではアーリーアダプターへの普及を特に重視していたが、この理論への反論として提唱されたのがキャズムと呼ばれる理論である。
キャズム理論では、アーリーアダプターの獲得はアーリーマジョリティなど他のカテゴリーの消費者の獲得にはつながらず、その間には大きな溝(キャズム)があるということが主張されている。
【イノベーター理論】
読み方:いのべーたーりろん
英語:innovation theory
例文
(1)イノベーター理論を用いることで、消費者ごとに異なる打ち手を考えることができます。
(2)イノベーション理論は1962年に提唱されました。