WEBサイトの解析をしていると「直帰率」という言葉を目にすると思います。
「直帰率」は簡単にいうと「訪れたページだけを見て帰った人の割合」です。これだけ聞くと「内容が面白くないから閉じたのでは」という印象を受けるかもしれませんが、一概にそうと言えないのがこの直帰率です。
この記事では「直帰率」についてわかりやすく紹介します。
合わせてよく一緒に使われる「離脱率」との違いや直帰率の下げ方のコツなど、色々と説明しますので、直帰率について知っておきたい方や、直帰率の高さに悩んでいる方は是非ご参考にされてください。
1.そもそも「直帰率」とは?
「直帰率」とは、訪れたサイトで別のページに移動せずに最初のページを見ただけで離れてしまったユーザーの割合のことを指します。
例えばWEBサイトトップページに100人が訪問し、そのうち40人がトップページを見ただけでサイトを閉じてしまったとします。その場合、直帰率は40%となります。
1.直帰率と離脱率の違いについて
直帰率と一緒に使われる言葉として多いのが「離脱率」です。離脱率とは、そのページを最後にWEBサイトを離れた割合のことを指します。
2.直帰率と離脱率の計算方法
直帰率はそのページの「ページの直帰数÷そのページから始まったセッション数×100」で決まります。直帰率はWEBサイトの訪れて、”最初のページだけ見た”という点がポイントです。
一方で、離脱率は「そのページの離脱数÷そのページのセッション数×100」で決まります。離脱率は「何番目に訪れたページか」は関係なく、”このページを最後にサイト自体を離れた”ということを意味します。
下記のように8月1日〜8月4日までのユーザーの動向を例にして解説してみましょう。
■例
8月1日:ページA→ページB→離脱
8月2日:ページB→ページA→離脱
8月3日:ページA→ページB→ページA→離脱
8月4日:ページB→離脱
上記を計測すると、ページBのアクセス数4回のうち、ページBでユーザーが離脱した回数は2回です。この場合「8月1日〜8月4日のページB離脱率は50%」となります。
一方で、ページAのアクセス数4回のうち、ページBでユーザーが離脱した回数は3回です。この場合は「8月1日〜8月4日のページA離脱率は75%」となります。
2.直帰率の目安はどのくらい?目安はあてにならない?
直帰率は一般的に40%前後が理想とされていますが、厳密にいうと直帰率に目安はありません。その理由は、直帰率はページの目的によって大幅に増えたり減ったりするからです。
例えば、「お問い合わせフォーム」などリンクが貼られていないページに訪れた場合、そのページの直帰率は大きくなります。一方で、ページCを見るためのページBがあったとします。ページBには「ページCをチェックしたい方はここをクリックしてください!」という文言だけ書かれていたとしましょう。
ほとんどのユーザーはページCを見るためにページBを訪れているので、ページBで離脱するということはほとんどありません。その結果として「ページBでの直帰率は低く」なります。
このように、WEBサイトのページ毎の目的によって、直帰率は大きく変動します。あるページで直帰率が大幅に高くても、ページの目的に合わせた直帰率の変動であれば気にする必要はありません。
3.直帰率が高くなる原因とは?
直帰率が高い=そのページだけで離脱する割合が高いということです。前述のとおり、ページの目的によっては直帰率が高くても問題ありません。
しかしブログや商品紹介ページなど、そのページを起点にして他のページを見てもらいたい場合、直帰率は重要になります。中継地点として作成したページの直帰率が高くなる原因には、具体的に下記のようなものがあります。
・ユーザーが目的とする情報がない
・目的とする情報を見つけづらい
・導線が設置されていない
・サイトの読み込みスピードが遅い
・サイトがユーザーのデバイスに最適化されていない
・ユーザーが満足する情報を見つけた
直帰率を下げたい方は、是非この項目をチェックしてください。
1.ユーザーが目的とする情報がない
例えば、あなたが「肩こり 解消法」というワードで検索し、開いたサイトに肩こりの解消法が載っていなければ、すぐ閉じてしまうと思います。
このように、ユーザーにはそのページを訪れた理由があり、ユーザーの目的にあった情報を提供していることが大切となります。ニーズが満たされないページの直帰率は高くなることを理解しておきましょう。
2.目的とする情報を見つけづらい
ユーザーのニーズにマッチした情報が記載されていても、すぐに見つけづらい場合には直帰率が上がってしまいます。
例えば「iPhone12シリーズ 価格」というワードで検索したページでiPhone12シリーズの価格がすぐわからなければ、直帰率は上がってしまいます。対策としては、検索キーワードにマッチする情報を一番上に記載し「このページには自分が欲しい情報がある」と認識してもらうことが大切です。
そして最後のページに「〇〇についても知りたい方はこちらを参考にしてください」という風に別ページに誘導することで、直帰率も下げることができます。
3.導線が設置されていない
他のページへの導線が設置されていない場合も必然的に直帰率は上がります。
つまり、”そのページから別のページへ移動する手段がない”ということです。そのため、直帰率を下げたい場合は「オススメ記事」や「一番人気の記事」など別ページへの導線を作る他、記事の内容に合わせて適宜別ページへのリンクを貼りましょう。
4.サイトの読み込みスピードが遅い
ページの読み込み速度が遅かったり、大量に貼られた画像などでページが重くなっている場合も、直帰率が上がります。ユーザービリティを考慮して、表示スピードが速くなるように工夫してページ作りをしましょう。
5.サイトがユーザーのデバイスに最適化されていない
最近ではスマホユーザーによりWEBページが増加しているため、Googleでも「モバイルファースト」として、スマホユーザーでも見やすいページの作成・対応が進められています。
スマホでパソコン専用サイトを見ると、文字が小さくて見えずに直帰率が増加してしまいます。スマホ・パソコンどちらにも対応したページにすることが大切です。
6.ユーザーが満足する情報を見つけた
直帰率が高いことは一概に悪いことと言えるわけではありません。それは「ユーザーが目的する情報を見つけて満足した」可能性もあるからです。
もしそのようなユーザーを満足させてしまうページの直帰率を低くしたい場合は、ユーザーが好みそうな関連ページへのリンクを貼りましょう。
4.直帰率はどうやって確認する?
直帰率はGoogleアナリティクスで自動計測することができます。
1.Googleアナリティクスを開く
2.レポート画面左から「行動」→「サイトコンテンツ」→「すべてのページ」と進む
3.すべてのページのデータが表示される
4.ページごとのデータ一覧の右に直帰率が表示される
これらはGoogleアナリティクスにサイトを登録して計測している場合に表示されるため、初めての方はまず登録しましょう。Googleアナリティクスは基本無料で使えるツールです。
5.直帰率の改善ポイントを見つけるコツ
直帰率が高いページがそのまま質の悪いページではないことはここまでも何度か解説しました。では、改善が必要なページはどのように見つければいいのでしょうか。
指標はWEBサイトによって異なりますが、主に下記の2点にフォーカスすると改善するべきページを見つけやすくなります。
・CV(コンバージョン)から考える
・アクセス数から考える
それぞれについて紹介します。
1.CV(コンバージョン)から考える
1つ目はCV(コンバージョン)から考える方法です。
コンバージョンとはそのWEBサイトの目標のようなものです。例えばECサイトであれば「商品購入」が最終目標として設定されていることが多いでしょう。
この「商品購入」に繋がるためのページで直帰率が高いと、WEBサイトが上手く機能していないということになります。「商品検索ができるTOPページの直帰率が高い」といった場合は、明らかに改善する必要があるでしょう。
・CV(コンバージョン)に繋がるページ=改善の余地あり
・CV(コンバージョン)とは関係ないページ=直帰率は気にしなくていい
ということになります。
2.アクセス数から考える
2つ目はアクセス数から考える方法です。
WEBページの中には「アクセスが多いけど、滞在時間が短いページ」や、「アクセス数は少ないけど、滞在時間が長いページ」が存在します。
上記の2つであれば、「アクセスが多いけど、滞在時間が短いページ」の方が改善後に期待できるWEBサイトへの貢献度は高くなります。つまり「アクセス数が多く、滞在時間が長いページ」にすることで、CV(コンバージョン)数を上げたり、他のページへの回遊率を上げる可能性を秘めているということです。
一方で「アクセス数は少ないけど、滞在時間が長いページ」はユーザーのニーズを満たしている(知りたい情報がある)ページと言えますが、アクセス数を上げるにはそれなりの労力がかかります。
つまりまとめると2つのページを有効活用するには、それぞれ下記のことが必要になります。
・「アクセスが多いけど、滞在時間が短いページ」=コンテンツの質を高くする
・「アクセス数は少ないけど、滞在時間が長いページ」=アクセス数を増やすためのマケーティング
前者の方が労力が小さく、高い効果が見込めるため改善する優先度が高いと言えます。
6.直帰率を下げるためにやるべき6つのコツ
最後に直帰率を下げるためにやるべき7つのコツについて紹介します。
・サイトやページの目的を再確認する
・ペルソナの再設定をする
・コンテンツの長さを最適化する
・コンテンツのクオリティを見直す
・わかりやすい導線を作る
・ページの見やすさを改善する
それぞれ簡潔に紹介します。
1.サイトやページの目的を再確認する
全体的に直帰率が高い場合は、サイトやページの目的を再確認してみましょう。
アクセスするユーザーのニーズと、WEBサイトの目的やページの目的がマッチしていない場合、必然的に直帰率は高くなる傾向にあります。
「このWEBサイトはどういう人に向けて、何を提供するのか」という目的を明確にすることで、目的に沿った集客が可能になり直帰率を下げることができます。
2.ペルソナの再設定をする
WEBサイトの方向性に迷った場合はペルソナ(顧客像)を設定しましょう。
世の中の流行や他サイトの動向を単純に参考にするのではなく、自分のWEBサイトを喜んで見てくれるペルソナを設定しましょう。設定したペルソナを念頭にサイト作りをすることで、コンテンツの質やサイトの方向性の軸がブレなくなります。
3.コンテンツの長さを最適化する
コンテンツの長さを意識することも大切です。
1つのページ当たりの文章やコンテンツ量が多すぎると、ユーザーは最後まで読む前にページを閉じてしまう可能性があります。一つのコンテンツに情報を詰めすぎず、複数のページに分けて読みやすい情報量のコンテンツを作り、それぞれをリンクさせることによって直帰率を下げることができます。
4.コンテンツのクオリティを見直す
直帰率が高い原因としてコンテンツのクオリティに心当たりがある場合は、質を上げることを重視しましょう。情報の質が低い場合は競合他社などを参考にし、ユーザーが何を求めているかを意識してコンテンツに取り入れることが大切です。
5.わかりやすい導線を作る
ページ内の導線をわかりやすくすることも直帰率を下げる方法として有効です。例えば、1つのページに多数のリンクが貼っていると「どれをみればいいのかわからない」、「リンクが多すぎて面倒」といった理由で直帰率が上がってしまうことがあります。
リンクを全く貼らなければ、それもまた直帰率を高める原因となります。自分でWEBサイトを確認しながら、ページ全体を眺めてユーザー目線でわかりやすい導線作りを心がけましょう。
6.ページの見やすさを改善する
コンテンツの情報をうまく伝えるために画像や動画の設置は有効ですが、その数が多すぎるとページが重くなり逆にユーザビリティの低下につながります。また、テキストに関しても改行がなされてない場合は見づらさにつながります。
前述のとおり、ユーザー目線でページを見ながら改善していくことで直帰率を下げることができます。
まとめ
まとめると、直帰率はユーザーがWEBサイトを訪れ、アクセスしたページのみだけでサイトから離れてしまった割合です。その率は「ページの直帰数÷そのページから始まったセッション数×100」で割り出されます。
直帰率が高いことが問題かどうかはページごとの役割によるため、ページごとの目的を把握して確認する必要があります。基本的には、ページの直帰率が低ければ「このページをきっかけに他のページも見てくれている」と考えることができます。直帰率を改善したい方は、ぜひ今回の記事でご紹介した内容を確認して、実際に取り入れてみてください!