営業代行は、すべての商材で同じように成果が出るわけではありません。
重要なのは「高単価だから向いている」「専門商材だから向いていない」と単純に判断することではなく、ターゲットの明確さ、営業方法の標準化、商材理解の難易度、LTV・粗利と営業コストの関係、どの営業工程を外部へ切り出せるかまで確認することです。
たとえば、高度な専門知識が必要な商材でも、アポイント獲得までを外注し、商談以降を自社の専門担当者が担う方法があります。一方、商材自体のターゲットや訴求がまだ固まっていない場合は、営業代行を本格導入する前に市場検証を優先した方がよいこともあります。
この記事では、営業代行に向いている商材の特徴、自社商材との相性を判断する基準、代表的な商材例、外注しやすい営業工程、向きにくい商材でも営業代行を活用する方法まで解説します。
営業代行に向いている商材とは
営業代行に向いているのは、外部の営業担当者でもターゲット・訴求・営業方法を理解しやすく、営業コストを回収できる可能性がある商材です。
特に、次の条件がそろっている商材は外注を検討しやすくなります。
- 狙う企業・部署・役職をある程度具体化できる
- すでに受注実績があり、顧客像やニーズが見えている
- 営業トークやヒアリング項目を一定程度標準化できる
- 外部担当者が商材知識を習得できる
- 受注後の粗利・LTVから営業コストを回収できる
- 営業プロセスの一部または全部を外部へ切り出せる
逆に、これらの条件を満たしていないからといって、必ず営業代行が使えないわけではありません。商材によっては、外注範囲を限定したり、専門特化型の営業代行会社を選んだりすることで対応できます。
自社商材が営業代行に向いているか判断する6つの基準
1. ターゲット企業を具体化できるか
営業代行では、誰に営業するかを明確にできることが重要です。
業界、企業規模、地域、部署、役職などの条件からターゲット企業を整理できれば、営業リストを作成しやすくなります。
一方、「どの企業に売れるのかまだ分からない」という状態では、営業代行会社へ大量のアプローチを任せても、営業対象そのものが適切でない可能性があります。
2. すでに一定の受注実績・顧客ニーズがあるか
営業代行は、売れるか分からない商材を自動的に売れる状態へ変えるサービスではありません。
既存顧客の共通点や、顧客が購入した理由、反応の良い訴求などがある程度分かっている方が、営業代行会社も営業方法を設計しやすくなります。
商材を立ち上げたばかりで顧客像やニーズがほとんど分からない場合は、本格的な営業代行の前に、小規模なテストセールスでターゲット・訴求を検証する方法もあります。
3. 営業方法を標準化できるか
自社の営業担当者しか説明できない商材よりも、誰に・何を・どのように伝えるかをある程度言語化できる商材の方が外注しやすくなります。
たとえば、次のような情報を営業代行会社へ渡せるか確認します。
- ターゲット
- 商材の特徴・強み
- 顧客の主な課題
- 競合との違い
- よくある質問
- 断られる理由
- 商談へ進める条件
4. 外部担当者が商材を理解できるか
専門性が高い商材でも、営業代行が使えないとは限りません。
重要なのは、営業に必要な範囲の知識を外部担当者へ共有できるかです。
専門用語が多い商材や複雑な技術説明が必要な商材では、営業代行会社への研修期間を設けたり、初回接触だけ外注して専門的な商談は自社へ引き継いだりすると運用しやすくなります。
販売に資格・許認可などが関係する場合は、対応可能な業務範囲を事前に確認しましょう。
5. 営業コストを粗利・LTVで回収できるか
営業代行との相性を考えるときは、単純な販売価格や粗利率だけで判断しません。
重要なのは、顧客を1社獲得したときに最終的に残る粗利やLTVと、営業代行にかかるコストのバランスです。
たとえば初回契約の利益が小さくても、継続契約や追加受注によってLTVが高くなる商材であれば、営業代行費を回収できる場合があります。
逆に販売単価が高くても、商談から受注までの確率が低い、営業期間が極端に長いなどの条件が重なると、費用対効果が合わない可能性があります。
6. どの営業工程を外部へ切り出せるか
商材全体として営業代行に向いているかだけでなく、営業プロセスのどこを外部へ任せられるかを考えることが重要です。
たとえば専門性の高い商材でも、営業リスト作成やテレアポ、初回ヒアリングまでなら外注しやすい場合があります。
営業工程の切り分け方を詳しく知りたい方は、営業アウトソーシングで外注できる営業工程を解説した記事も参考にしてください。
営業代行と相性が良い商材・条件付きで検討したい商材
以下は代表的な商材を、営業代行への外注方法という観点から整理したものです。
実際の適性は、単価・LTV・ターゲット・営業体制・委託範囲によって変わるため、商材名だけで最終判断しないようにしてください。
| 商材・サービス | 外注の考え方 | 任せやすい工程 |
| SaaS・クラウドサービス | ターゲットを整理しやすく、継続課金型ならLTVも見込みやすい | リスト、テレアポ、IS、商談 |
| 業務効率化ツール | 企業課題との紐付けがしやすい | 新規開拓、アポ、IS |
| セキュリティサービス | 需要はあるが商材理解・専門知識が必要になる場合がある | リスト、アポ、初回ヒアリング |
| 人材紹介・採用支援 | 法人ターゲットを設定しやすく、新規開拓と相性がよい | リスト、テレアポ、商談設定 |
| 求人広告 | 採用ニーズのある企業を絞り込みやすい | 新規開拓、アポ |
| Web制作 | 対象企業は広いが競合も多く、訴求の差別化が重要 | リスト、アポ、初回ヒアリング |
| Web広告・マーケティング支援 | 課題や対象業界を明確にできれば外注しやすい | 新規開拓、アポ、商談 |
| SNS運用支援 | ターゲット・導入メリットを具体化できるかが重要 | リスト、アポ、商談設定 |
| 法人研修 | 人事・教育部門などターゲットを絞りやすい | 新規開拓、アポ、初回商談 |
| 法人向けコンサルティング | テーマを標準化できれば外注可能。高度な提案は自社向き | リスト、アポ、初回ヒアリング |
| BPO・業務代行 | 業務課題が明確な企業へ提案しやすい | 新規開拓、アポ、IS |
| 受託システム開発 | 案件ごとの個別性が高いため、商談以降は専門担当者向き | リスト、アポ、初回ヒアリング |
| 産業機器・製造設備 | 高単価でも専門性・営業期間が長い場合がある | リスト、アポ、展示会後フォロー |
| 業務用消耗品 | 継続購入・市場規模によっては外注しやすい | 新規開拓、アポ、訪問 |
| オフィス関連サービス | 法人ターゲットを絞りやすく、商材説明も標準化しやすい | リスト、アポ、商談 |
| 不動産・法人向け物件サービス | 単価は高いが案件ごとの条件差が大きい | 新規開拓、アポ、初回ヒアリング |
| 金融・保険関連サービス | 規制や専門知識、取り扱える業務範囲の確認が必要 | 対応可能範囲を確認して限定 |
| 専門資格が関係するサービス | 一般的な代行会社より、専門会社・工程限定が向く | リスト、アポなど限定工程 |
商材別|どの営業工程なら外注しやすい?
商材の専門性が高くなるほど、営業プロセス全体を丸ごと任せるより、一部工程だけを外注する方が運用しやすくなります。
| 商材の特徴 | リスト作成 | アポ獲得 | 商談 | クロージング |
| 標準化しやすい法人向けSaaS | ◎ | ◎ | ○ | ○ |
| 人材・採用支援 | ◎ | ◎ | ○ | ○ |
| Web・マーケティング支援 | ◎ | ◎ | ○ | △ |
| オーダーメイド開発 | ◎ | ○ | △ | △ |
| 高度な技術商材・産業機器 | ◎ | ○ | △ | △ |
| 専門資格が関係する商材 | ○ | △ | △ | △ |
| 低単価・低LTV商材 | △ | △ | △ | △ |
「△」だから外注できないという意味ではありません。営業代行会社の専門性、契約形態、商材教育、顧客1社あたりの価値などによって判断は変わります。
営業代行に向きにくい商材でも外注できるケース
アポイント獲得までに範囲を限定する
商談で専門知識が必要な場合は、営業代行会社にはターゲット選定・リスト作成・初回接触・アポイント獲得までを任せ、商談以降を自社で担当する方法があります。
外部担当者が深い専門知識を身につけなくても役割分担できるため、技術商材やオーダーメイド型サービスでも利用しやすくなります。
専門業界に強い営業代行会社を選ぶ
医療、IT、製造、人材など、特定分野の営業経験を持つ会社もあります。
商材理解に時間がかかる場合は、一般的な営業実績だけでなく、自社と近い業界・商材の経験を確認しましょう。
商材研修・営業資料を整備する
外部担当者が説明しにくい商材でも、FAQ、競合比較、成功事例、よくある断り理由、提案時のNG事項などを整理すると営業を標準化しやすくなります。
本格導入前にテストセールスを行う
ターゲットや訴求がまだ確立していない商材では、最初から大規模な営業代行を行うより、対象企業や期間を限定して顧客反応を確認する方法があります。
その結果をもとに、ターゲット・営業トーク・商談条件を改善してから営業量を増やすと判断しやすくなります。
商材に合う営業代行会社を選ぶポイント
自社と近い商材・業界の営業経験があるか
営業代行会社によって、得意な業界や営業手法は異なります。
SaaS、人材、製造、Webサービスなど、自社と近い商材・ターゲットでの支援経験を確認しましょう。
どの営業工程まで任せられるか
テレアポだけの会社もあれば、ターゲット設計、インサイドセールス、商談、営業改善まで対応する会社もあります。
自社商材の専門性や社内体制に合わせて、必要な範囲を任せられる会社を選びます。
商材理解・研修の進め方を確認する
営業開始前にどの程度の商材研修を行うのか、営業資料やFAQをどのように作るのか、担当者変更時にどう教育するのかも確認しましょう。
営業結果を商材改善へ戻せるか
営業代行から得られる顧客反応は、商材や訴求の改善材料になります。
アポイント件数だけではなく、断り理由、ニーズ、競合状況などを共有してもらえる会社であれば、営業活動から得た情報を自社へ蓄積しやすくなります。
営業代行に依頼する前の商材チェックリスト
| チェック | 確認項目 |
| □ | 営業対象となる企業・部署・役職をある程度特定できる |
| □ | 既存顧客や受注実績から、売れやすい顧客像が分かっている |
| □ | 顧客が購入する主な理由・課題を説明できる |
| □ | 商材の特徴や競合との違いを営業担当者へ共有できる |
| □ | よくある質問・断り理由を整理できる |
| □ | 外部担当者が営業に必要な知識を習得できる |
| □ | 1顧客あたりの粗利・LTVを把握している |
| □ | 営業代行費を含めても採算が合う可能性がある |
| □ | 外注する営業工程と自社に残す工程を分けられる |
| □ | 営業代行から得た顧客情報を自社へ蓄積できる |
すべてに当てはまる必要はありません。満たせていない項目がある場合は、「営業代行を使えない」と判断するのではなく、外注範囲の限定や営業設計の見直しで対応できないか検討しましょう。
営業代行と商材に関するよくある質問
営業代行は高単価商材でないと使えませんか?
高単価であることだけが条件ではありません。
販売単価が低くても、継続契約や追加購入によってLTVが高い商材であれば営業代行費を回収できる場合があります。粗利・LTVと営業コストの関係で判断しましょう。
専門性の高い商材は営業代行に向いていませんか?
必ずしも向いていないわけではありません。
営業代行会社へ商材研修を行う、業界特化型の会社を選ぶ、アポイント獲得までを外注して専門的な商談は自社で担当する、といった方法があります。
ターゲット企業が少なくても営業代行は使えますか?
使える場合があります。
対象企業数だけでなく、1社あたりの取引価値や営業方法によって判断します。少数の大手企業を狙う場合は、大量架電型ではなく個別に企業を攻略する営業手法が適していることもあります。
新規サービスを発売した直後でも営業代行を利用できますか?
利用できますが、ターゲットや訴求がまだ確立していない場合は、最初から大規模に依頼するより小規模なテストセールスから始める方が判断しやすくなります。
営業代行会社は商材選びから相談できますか?
会社によっては、ターゲット・営業方法・委託範囲などの設計から相談できます。
ただし、営業代行会社ごとに得意な商材・営業工程が異なるため、自社商材に近い支援経験があるか確認しましょう。
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営業代行との相性は、商材名だけでは決まりません。ターゲット、粗利・LTV、商材の専門性、営業プロセス、どこまで外注するかによって適切な営業体制は変わります。
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この記事の監修者
鶴田克之
株式会社ジャパンプ取締役
営業歴20年以上。様々な業界の営業代行を担当し、
楽天やミスミなど大手企業の営業支援も経験。
新規開拓に加え、営業チームの立ち上げ・マネジメントにも携わる。
営業代行の発注設計と会社選定(相場・依頼範囲)に関する内容を監修。
岡林洋祐
株式会社ジャパンプ取締役
営業歴15年以上。様々な業界の営業代行を担当。
リクルートやキーエンスなど大手企業の営業支援も経験。
スクリプト改善や架電運用の最適化など、現場で成果を出す実務に強みを持つ。
営業代行で成果を出すための運用設計(品質管理・改善・教育)に関する内容を監修。


